バニラドロップ ２

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次の日、レストランのバイト終わりに、みっくんから事務室に呼び出された。

「聞いたよ？
ニカと付き合うことにしたんだって？」

…って、相変わらず情報早いよね。

「誰に聞いたの？」

「ん？ニカ。」

「直接？」

「そう。
朝、たまたま会ったから。
ニカすげー、嬉しそうだったけど？」

「もう、噂になってんのかな…、島中の。」

「わかんないけど、多分すぐに広まるんじゃない？」

やっぱり…。

ほんと、この島の情報網ってすごいもんね。







「ニカと付き合うなら、Aちゃんには言っとかないとなー、って思ってたことがあるんだけど。
どうする？聞く？」

「…それって、説教？」

「っていうか忠告？」

…なんか、嫌な予感しかしないんだけど。

「聞いといた方が、Aちゃんのためになると思うけど？」

なんて言われるから、とりあえず頷いておく。

「Aちゃんは島の男子と付き合うことに対して、どう思ってる？
付き合うだけだから、将来のことなんか考えずに、軽い気持ちで付き合ってる？」

そう改めて聞かれると…、正直わかんない。

そこまで深くは考えてないのが、正直な答えなんだけど。







「多分、ニカはもっと先のことまで考えて付き合ってるよ。」

「先のことって？」

「Aちゃんとの結婚のこと。
島の子は、自立が早いからね。
生半可な気持ちで、Aちゃんと付き合うって決めたわけじゃないと思うよ。」

「それって…。」

「うん、結婚を前提にって考えてるはず。
だからもし、Aちゃんにその気がないなら、ちゃんと最初にそう言ってあげて。
変な期待は持たせないであげて。」

変な期待って…。

結婚のこと？

「付き合う前にそういう話、ちゃんとしといた方がいいかもね。」

そう言われて、レストランを後にしたけど。

みっくんの話がずっと引っかかってて、民宿のバイトもなかなか身が入らなかった。







やっぱり今夜も、民宿の外には高嗣が待ってて、

「もう焼肉の準備できてるよ。」

とか言いながら、もう私の自転車に跨ってる。

いつものように後ろに乗って、ガタガタ道を自転車で下りながら、考えてた。

結婚するってことは、私、この島にずっと住むってことなのかな。

それって一生？

高嗣は私のことをこの島から出さないって、前に言ってたけど。

それって、そういう意味なの？

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