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だからつい、余計なことを言ってしまう。

「薫さんも連れてきたことあるの?ここに。」

でも高嗣は、

「…ないよ。」

って、そっけない返事。

「星を見に行くとかは?」

「それもない。」

って、やっぱりそっけない。

小さい頃、よく2人で夜のビーチで星空を見てたよね。

この島は明かりが少ないから、いつも真っ暗で。

その分、星が綺麗に見えるんだ。






「星、見に行く?
ビーチに。」

「…何で?」

「なんか、小さい頃、Aと寝る前によく家を抜け出して、ビーチに寝っ転がって星を見てたよね。」

うん、体中砂だらけにして、よく怒られたよね。

「よし、行こう!」

って、高嗣はまた車を動かして、ビーチまで約3分間のドライブ。

運転席の高嗣は、何故か鼻歌まで歌ってるし。

ねえ、何か相談があるとかって言ってなかった?









ビーチに着いたら、辺りは真っ暗で何も見えなくて。

車に積んでた懐中電灯で地面を照らしながら、進んでいく。

砂に足を取られて躓きそうになった私に、

高嗣は笑顔で手を差し伸べてきた。

「ほら、手、繋いどこう。」

って。

そのまま、私の手を繋いで歩き出す。

…そういうの、困るんだけど。

そういうのは、薫さんとすればいいじゃん。







そのまま手を引かれて、ビーチの真ん中に着いたら、

高嗣は大の字になって砂の上に寝転がってしまった。

私も一緒になって隣で寝転がってみたら、

星があまりに近くに見えて、それがなんか嬉しくて。

つい、大きく手を広げてみたら、高嗣の手とぶつかってしまう。

引っ込めようとしたのに、そのままその手を握られてしまった。








「A…、なんかもう、俺、よくわかんないんだけど。」

高嗣は、私の手を握りしめたまま、こんなことを言い出す。

「薫さんのことは好きだけど。
やっぱり、恋愛感情じゃないような気がする。」

夜のビーチで、手を繋いだまま、薫さんの話をするなんて。

なんか、悪いことでもしてるような気持ちになるよ。






「夜景とか、夜のビーチで星を眺めるとかさ、薫さんと行った方がいいんじゃない?」

その言葉に高嗣は何も答えてくれない。

「連れてってあげたら?
手とか繋いであげたら、薫さん、嬉しいと思うよ。」

そう言ったら、高嗣は繋いだ手をぎゅっと握りしめて、こう聞き返してきた。

「じゃあ、今、Aは嬉しい?
俺と手、繋いでるけど。」

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わかめ(プロフ) - ライラさん» まさかのみっくんの、「ごめんガチで早く寝て」でキュン死にしてもらえるとは!!!感無量です、ありがとうございます(*^-^*) (2016年11月6日 23時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
ライラ(プロフ) - ごめんガチで早く寝てくんね?のみっくんにキュン死に〜( *´艸)ちょこちょこでてくるみっくんにやられっぱなしです(*`▽´*) (2016年11月6日 18時) (レス) id: db3aa51c9f (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - はるかさん» 高嗣さん、ちょっと今までない強引ぶりを出してみました。つか、こんな高嗣さんが見てみたいという願望からwww高嗣はやる時にはやる男です(*^-^*) (2016年11月6日 17時) (レス) id: 8af18b42f1 (このIDを非表示/違反報告)
はるか(プロフ) - はぁ、ヤバイヤバイ高嗣がステキすぎる。いい男すぎる。ここのところドキドキしっぱなしです。恋愛偏差値70ってすごいね。高嗣にはその素質があったんだよ、きっと…。主人公ちゃんが開眼させたのね。ふふふ(*^^*) 続き楽しみです。 (2016年11月5日 16時) (レス) id: 82790df662 (このIDを非表示/違反報告)
わかめ(プロフ) - まなさん» 邪魔させちゃいましたーwww毎日しつこく更新してるのに、読んでいただいてありがたいです(´∇`)これからもよろしくお願いしますm(_ _)m (2016年11月4日 0時) (レス) id: ba720923d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:わかめ | 作成日時:2016年10月13日 0時

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