白鳥妻のだいぼうけん！

病院 ページ7

私がそう言うと、強ばっていた藤巻さんの表情が、少し解れた。

その様子に違和感を感じたが、藤巻さんが話し出したため耳を傾ける。

「白鳥理事長は浮気はしていないと思います」
「どうして……？」

「白鳥理事長は、以前から愛妻家として有名ですから。そんな人が浮気をするとは、僕は思いません」
「そう、なんですか……」

なにそれ、病院中に広まってるの？愛妻家って？
一体何をしたの？稔さん……？

嬉しいやら恥ずかしいやらで混乱していると、藤巻さんに声をかけられる。

「あの、そろそろ……」
「あ！最後に一つだけ、聞いてもいいですか？」
「はい」

「"アルカナム"ってご存知ですか？」

その単語を聞いて、藤巻さんは目を見開いた。

「知っているんですね。聞きたいことはそれだけです。お忙しい中ありがとうございました。これ、私の連絡先です。お仕事が終わり次第、かけていただけませんか？」

「……かけなかったら？」

「あかりちゃんに言いつけます！藤巻さんにいじめられたって……。では、ご連絡お待ちしています。白鳥には、くれぐれもご内密に」

困った様子の藤巻さんにお辞儀をして、病院から出る。

藤巻さんの反応からして、アルカナムというお店が怪しいことが分かった。

どうしよう、そこに稔さんの浮気相手がいたら……。

妻の私が弱気になってちゃダメだ。
とりあえず、藤巻さんから電話がくるまで時間があるだろうし、行ってみたかったカフェで気分転換しよう。

スマホで場所を検索し、私はカフェへと足を進めた。

アルカナム(NOside)→←病院

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