昼食 ページ29
「藤巻先生、良かったらお昼ご飯一緒に食べませんか?」
清掃を終えてお昼休みに入ろうとしていたときに偶然通りかかった藤巻先生に、そう提案する。
藤巻先生はあまり乗り気でない表情をして私に尋ねてきた。
「何故、僕と?旦那様とご一緒された方がいいのでは……?」
「夫には病院内では近付くなって言われてて……この病院で仲良いのは藤巻先生だけなんです。それに、私の事情も知っていますし。ね、お願いします〜!」
「分かりました!分かりましたから……!」
「ありがとうございます!」
藤巻先生の了承の言葉を聞いて、私はすぐに頭を上げて微笑む。
そんな私を見て、藤巻先生は大きな溜め息を吐いた。
「わ〜!どれにしようかな〜?」
流石は大学病院。料理の数が沢山あって、選び放題だ。
メニュー表を見ながら目を輝かせる私に、藤巻先生は
「あまり大きな声を出さないでください……」
と注意する。
「こういうのって学生以来だから新鮮で……ごめんなさい」
「い、いえ……」
「よし、私はこれにします!」
目に付いたメニューを注文し、出来上がった料理を持って席へ向かう。
遅れて注文した藤巻先生に手を振ると、近付いてきて私の向かいの席へ座った。
「いただきます!」
「……いただきます」
手を合わせて、温かいうちに料理を口に運ぶ。
「美味しい……!」
夢中になって食べ進めていると、藤巻先生の視線を感じて私は手を止めた。
「藤巻先生?」
「あ……随分美味しそうに食べていたので」
「もしかして、藤巻先生も食べたいんですか?一口くらいなら良いですよ、はい」
「い、いや、結構です……!旦那様に見られたらどうするんですか……」
「え?これくらい夫に見られても問題ないでしょ。お友達だったら普通のことじゃないですか?ほら、遠慮しないでください」
一口分を藤巻先生の口元に近付けると、藤巻先生は覚悟を決めたように口に含んだ。
「美味しいですよね!」
「……はい」
何故か放心状態で咀嚼を続ける藤巻先生を不思議に思いながら、私は食事を再開した。
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ときあと(プロフ) - 雪さん» ご指摘ありがとうございます。少しずつ修正していこうと思います。今後も是非読んでいただけると嬉しいです。 (3月10日 22時) (レス) id: 26b0244867 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 いきなりすみません。。。 物語読みました。 読んでいて思ったのですが。。。 台詞の間(行間隔)あけてはどうでしょうか? 行間隔が詰まっていると何だか読みにくいので。。。 (3月10日 22時) (レス) @page2 id: 6d33361b7d (このIDを非表示/違反報告)
ときあと(プロフ) - みつ丸さん» 冷静になって考えたら、自宅に監視カメラ付けてるのって相当ですよね…(汗)応援ありがとうございます! (3月1日 20時) (レス) id: 26b0244867 (このIDを非表示/違反報告)
みつ丸(プロフ) - ドラマのお陰で、理事長=監視キャラのイメージがありますよね(笑)連載楽しみにしております! (3月1日 20時) (レス) @page4 id: 8f46f7c20d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ときあと | 作成日時:2024年3月1日 18時