隠し事(NOside) ページ17
NOside
「離してください、藤巻先生。私は、Aを追いかけなければ……」
「行かない方が、いいです」
「何故ですか。私がいないとAは、」
「あの女性の言っていた通りです。今の白鳥理事長は、らしくありません……！」
「そうですよ、落ち着いてください」
店を出ていったAの姿を見て、白鳥は追いかけようと体を動かすのをやめた。
そんな白鳥を藤巻は椅子に座らせて、杏梨が水を差し出す。
「……Aさんが白鳥理事長の奥様、ですか？」
「……そうです」
諦めたように答える白鳥に、藤巻は言葉を続ける。
「隠し事、というのはやはり……」
「気を付けた方がいいですよ？女の勘は、意外と鋭いですから」
杏梨が微笑み、二人に向けて囁く。
藤巻は軽く頭を下げて他の卓に向かっていく杏梨を見送り、白鳥に訴えかけた。
「白鳥理事長、奥様を守るためにも、もうギフトから手を引きましょう」
「それはできません。私がここで手を引けば、医療界は浄化されるどころか、濁っていくばかりです。医療界のトップに立つまで、ギフトは利用し続けます」
「ですが、ギフトに関わっていれば奥様も危険に晒されるんですよ……！？」
「分かっています。だから、今まで私が守ってきたんです。実際、私が愛妻家という噂があっても、誰も妻の姿も名前も知らないでしょう」
「……確かに」
藤巻は、先程の出来事が起こるまで、Aのことを白鳥の友人だと認識していた。
Aが病院にいた時も、誰も気にしていない様子だったことを思い出し、白鳥の発言に納得する。
やっと見つけた白鳥の弱点を、どうにか利用できないかと藤巻は頭を回転させる。
「ギフトから手を引かないなら、僕がAさんを、」
「できるんですか？あなたに」
藤巻が言い終わる前に、白鳥は藤巻の目を見て訊ねた。
動揺する藤巻に、白鳥はふっと乾いた笑いを漏らす。
「できないでしょう。今後は、つまらない冗談など言わないように。妻についても、一切口外することは許しません。奥様の安全を願うなら、私に従ってください、藤巻先生」
白鳥の圧に耐えられず、藤巻は渋々と了承した。
その様子を見て、白鳥は立ち上がる。
「私は帰ります。もう追いかけませんから、安心してください」
慌てて立ち上がりかけた藤巻にそう言うと、白鳥は鞄を手に取り、アルカナムから出ていった。
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ときあと(プロフ) - 雪さん» ご指摘ありがとうございます。少しずつ修正していこうと思います。今後も是非読んでいただけると嬉しいです。 (3月10日 22時) (
レス) id: 26b0244867 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 いきなりすみません。。。 物語読みました。 読んでいて思ったのですが。。。 台詞の間(行間隔)あけてはどうでしょうか？ 行間隔が詰まっていると何だか読みにくいので。。。 (3月10日 22時) (レス) @page2 id: 6d33361b7d (このIDを非表示/違反報告)
ときあと(プロフ) - みつ丸さん» 冷静になって考えたら、自宅に監視カメラ付けてるのって相当ですよね…(汗)応援ありがとうございます！ (3月1日 20時) (レス) id: 26b0244867 (このIDを非表示/違反報告)
みつ丸(プロフ) - ドラマのお陰で、理事長=監視キャラのイメージがありますよね(笑)連載楽しみにしております！ (3月1日 20時) (レス) @page4 id: 8f46f7c20d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ときあと | 作成日時：2024年3月1日 18時
