弱点 ページ1
「おかえりなさい！稔さん！」
「……ただいま」
私ができる最大級の笑顔で出迎えたというのに、帰宅した家主はどこか暗い表情をしている。理事長になってから、ずっとだ。
家主……いや、私の夫は医者で、出会ってから何回も理想の医療について語られてきた。本当にもう、聞き飽きたってくらい。
……理事長になったってことは、より実現に近付いたってことだから、喜ばしいはずのことなのに稔さんは毎晩、暗い顔で帰ってくる。
「ご飯できてるよ！ね、温かいうちに食べよう？」
腕を掴んで強引にダイニングへ向かう。稔さんは困ったように笑いながら、私に身を任せて着いてきてくれた。
「今日も美味しそうですね」
「でしょ！やることないから料理の腕ばっかり上達しちゃって……」
「いただきます」
「どうぞどうぞ……って私喋ってたのに！まぁいいや！私もいただきます！」
食べ始める稔さんを見て、勢いよく手を合わせ、私も食事を始める。「美味しいです」と微笑む稔さんに、やっといつもの稔さんに戻ったと安心した。
自分で作ったご飯を咀嚼しながら、時々稔さんに視線を向ける。本人は気にしていないのか、素知らぬ顔でご飯を食べていた。
……やっぱり、理事長になってからの稔さん、おかしい気がする。前に、暗い顔をしている理由を聞いたけど、上手くはぐらかされてしまったし。今まで私に隠し事なんてしてこなかったのに。
妻である私に言えない、隠し事……はっ！もしかして……！
口に含んでいたご飯を飲み込んで、箸を箸置きに戻し、私は口を開く。
「あの、稔さん」
ただならぬ私の表情に気付いたのか、稔さんも箸を置いた。
「はい」
「もしかして……浮気、してます？」
名推理！妻に言えない隠し事などこれしかないだろう。
確信をついた表情で見つめる私に、稔さんはきょとんとした表情をした後、何故だか笑いだした。その様子を見て、私はうろたえる。
「浮気？有り得ないですよ。私は、こんなにAのことを想っているのに」
「え、だ、だって！いつも帰ってくるときあんな表情して……！」
「ですから、私は何ともないと何度も伝えているでしょう？」
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ときあと(プロフ) - 雪さん» ご指摘ありがとうございます。少しずつ修正していこうと思います。今後も是非読んでいただけると嬉しいです。 (3月10日 22時) (
レス) id: 26b0244867 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - こんばんは(*^^*) はじめまして。 いきなりすみません。。。 物語読みました。 読んでいて思ったのですが。。。 台詞の間(行間隔)あけてはどうでしょうか？ 行間隔が詰まっていると何だか読みにくいので。。。 (3月10日 22時) (レス) @page2 id: 6d33361b7d (このIDを非表示/違反報告)
ときあと(プロフ) - みつ丸さん» 冷静になって考えたら、自宅に監視カメラ付けてるのって相当ですよね…(汗)応援ありがとうございます！ (3月1日 20時) (レス) id: 26b0244867 (このIDを非表示/違反報告)
みつ丸(プロフ) - ドラマのお陰で、理事長=監視キャラのイメージがありますよね(笑)連載楽しみにしております！ (3月1日 20時) (レス) @page4 id: 8f46f7c20d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ときあと | 作成日時：2024年3月1日 18時
