［アルスマグナ］短編集 version２！！ (ページ7)

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　感謝　　榊原タツキページ7

...これは、僕がまだ小学生だったころの話...。

ーーー

先「じゃあ係りを決めますね。
楽器を弾く人と歌を歌う人に別れまーす！」

学校が毎回やっているもの。

それは参観の時に一人ずつ、好きなものをやることになった。

一つのものにまとめなきゃいけなくて、テーマは音楽。

僕は音楽を聞いているのは好きだけど、歌ったり弾いたりするのは苦手だった。

だからどうしようってずっと悩んでいたのに...。

先「あと手を挙げてないのはー...、榊原くんだけかな？」

「え...？」

歌う人はほかにもいるけど、手を挙げなかったせいで勝手に決められてしまった。

「...どうすればいいんだろう...」

放課後、一人で教室に残ってると声が聞こえた。

貴「タツキ君？どうしたの...？」

体育座りをして泣いていた僕。

そのことをばれたくなかったから、ずっと下を向いていた。

貴「...大丈夫？どこか痛いの？」

不安な顔をしながら聞いてくる君に、僕は首を横に振ることしかできなかった。

貴「うーん...。もしかして、今日決めた係りのこと...？」

その時僕はビクッとなった。

それに気づいたのか、君は僕の隣に座った。

貴「あれ、タツキ君迷ってたんだよね？」

「...なんで、わかるの...？」

貴「だって、私タツキ君の横の席だからさｗ
...もしかして歌うの苦手なの？」

「うん...」

貴「私もあんまりうまくないけど...、一緒に練習する？」

微笑みながら言う君が、すごくきれいに見えた。

その日から毎日放課後二人で練習していた。

貴「タツキ君、大分うまくなったと思うよ？」

「ほんと？ありがとう！」

貴「それに、性格も明るくなった」

君が言っていることは本当だった。

「Aちゃんのおかげだよ。ありがとう！」

貴「ううん、タツキ君ががんばったからだよ」

僕はだんだん歌が好きになっていった。

それと同時に本番も近づいていた...。

ーーー

先「じゃあ一番目の○○くん、前に出てきてね」

歌を歌う人は、自分で歌いたい曲を決めて歌う形になっていた。

僕の前の人が歌い終わって、僕の番。

「...ぼ、僕が、この曲を選んだのは、
今までそばで支えてきてくれた友達に伝えたかった...から、です！

き、聞いてください。『Smile again』」

いつもそばにいてくれて、ありがとうー...。