［アルスマグナ］短編集 version２！！

　もしも国語担当だったら？　　朴ウィト ページ46

日本語っていうのは案外難しいと思う。

僕がこう思って言ってても、相手には違うように伝わっている。

どうすれば勘違いされずに真っ直ぐに伝えれるのだろう。


僕がこう悩むようになったのは...、




貴「ウィトっち先生！」

「あ、Aちゃん」


僕の方へ手を振りながら駆けてくるAちゃん。

全部彼女のせいって言ってもいいかもしれない。

いや、彼女は何も悪くないかｗ

僕の一目惚れのせいなんだけど...。


貴「ウィトっち先生どうしたの？」

「ん！？いや、何でもないよｗ」

貴「ふ〜ん。あ、聞きたいことがあったんですけど...」

ここって言いながら紙を見せてくるAちゃん。


Aちゃんは頭が賢くて、テストも１００点ばっかで、

もう僕より賢いんじゃないかっていうくらいすごい子なんだ！

物語を読み解くのも得意なのに...、どうしてか伝わらないんだよねー。


何回か告白っぽいのはしてみたんだけど伝わらなくて、

もう好き！ってはっきり言ったんだ。

そしたら私も好きですよーって笑いながら言ってきた。

多分LOVEじゃなくてlikeの方なんだろうって思った。

真面目なのにって言っても冗談すぎますよーなんて返事が返ってきた。

他にも分からないとか、どういう意味なんですか？って言われたりしたし...。

僕は国語担当なのに、一番言葉を使うのが下手なのかもしれない。









「で、これはここの文を使って、っと」

貴「わ！すごい、簡単に解けた！」

「これで分かった？」

貴「はい！ありがとうございます」

ペコっと勢いよく頭を下げるAちゃん。

この前アキラ先輩に言われたんだけど僕たち似てるんだってｗｗｗ



「...あ、そういえば」


僕はあることを思いついた。


「Aちゃんって本読む？」

貴「読みます。好きですよ、本」

もう数えきれないほど読んでます！って胸をはりながら言う。

あぁ、本当に可愛いって思う僕ははたから見れば変態なんじゃないかな？ｗ

「じゃあさ、夏目漱石って知ってる？」

貴「あ、この前図書室で本を借りましたよ」

「なら...、今度こそは分かるかな」

貴「え？」


僕はAちゃんに近づいて、耳元で囁いた。




「月が綺麗ですね...。これの意味、分かるよね？」




すっと離れるとAちゃんの顔は真っ赤になっていた。

伝わった、よね？


いや、もう分からないなんて言わせない...。

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