［アルスマグナ］短編集 version２！！

　もしも数学担当だったら？　　泉奏 ページ45

「で、ここの式を――...」

静かな教室に俺だけの声が響く。

誰に答えてもらおうか...。

ぐるっと教室を見る。


誰一人として俺と視線を合わそうとしない。


まぁ当たり前か。

今やってる問題は教科書にものってない難しい問題だからな。

皆は答えが間違ったら怖いからと言って手を挙げたりしないけど、

俺は反対にその答えが大事だと思う。

どこでそういうふうになった？と考えて、

あ、ここで間違ったのか。と皆で考えれば、もうその間違いはしなくなる。

つまりその間違った答えはただ間違ってるんじゃなくて、

新たに考える力をつける大事な答え。


...なんて、俺は一人で何を考えているんだか。




ちらっと窓際の一番後ろの席のAさんを見た。


貴「(-_-)zzz」


寝ている...。

俺の授業で寝るとはいい度胸ですね。


「それでは...、ここの式をAさん。解いてみてください」

貴「...っ！？はい！」


さぁ、どういう答えを書くんでしょうか。








貴「これであってますか？」

「はい、正解です。すごいですね」

にこっと笑って席に戻るA。

驚いた。途中式も全部完璧、記号もしっかり書いてある。



キーンコーンカーンコーン...



「それでは今日はここまで。お疲れ様でした」

教科書をパタンと閉じて片づけをする。

貴「奏先生！！」

「Aさん。どうかしたんですか？」

貴「さっきの、すごくないですか？！」

きらきらとした目で俺を見つめてくる。

「えぇ、すごかったです。よく解けましたね」

彼女はでしょ！って言いながら嬉しそうにしている。





「...Aさん」

貴「はい？」

「貴方に宿題を出しましょう」

さらさらと白い紙に問題を書いていく。

「この問題が解けたら、俺のところまで持ってきてください」

スッとその紙を渡して教室をでる。






(問)３＋３＝？ ２＋２＝？

この？の部分にはひらがなが入ります。そのひらがなをあててください。









ヒント:携帯で打ってみてください









携帯で文字を打つとき、３の数字の部分を三回押すと『す』になる。

次は２の数字の部分を二回押すと『き』になる。



言葉では言えない俺の考えた問題です。

あの難しい問題が解けたんですから、簡単でしょう。

さぁ、彼女は答えが分かったときどういう反応をするんでしょうかね――...？

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