［アルスマグナ］短編集 version２！！ (ページ44)

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　もしも化学担当だったら？　　神生アキラページ44

「よーし、今から実験始めるから、実験道具を取りに来てくれ」

俺が言うと次々と取りに来る。

あらかじめ用意してあるからそれを運べばいいだけだしな。

俺はその間に黒板に字を書いていく。

すると生徒たちの話し声が聞こえてくる。

楽しみとか、ドキドキするねとか、失敗しないかなーとか。

俺はそれを聞くだけで楽しくなる。

普通の授業をうけているより、実験のほうがみんなも楽しいだろう。

俺も学生だった頃はそうだったからな。

できるだけ楽しく、かつ覚えやすいよう授業をするようにしている。

「じゃあみんな道具取ったな？」

俺が初めに手本を見せる。

前はそれで失敗して泉に相談したっけなｗ

でも今回はちゃんと成功した。

「っていう感じだ。次はみんなの番だ」

ちゃんと注意してやれよー、と付け足す。

化学は危険な薬品を扱ったりするから、

気を付けないと取り返しのつかないことになってしまう。

そうならないためにも、俺は各班の様子を見て回る。

貴「アキラ先生、ヘルプー」

Aが手を挙げて俺を呼んだ。

「どうした？」

貴「これきつく締めてあって全然緩められないんだよね」

「これか...わかった。
あ、あと先生には敬語使えって言っただろ？」

貴「えー、だって先生に見えないもんｗ」

「お前失礼だな！俺は立派な先生だっつーの」

Aが握っているものを取って手に力をいれる。

これ...確かに硬い。

誰だよこれ締めたやつ。

めっちゃ力強いじゃんかよ。

「...ん」

きゅっと緩まった音がしたからAに渡す。

貴「おー...、すごい」

「これくらい普通だろ」

貴「普通って...。あんなにきつく締めたのに」

「締めたのお前かよ！！」

バシッとAの頭をしばく。

貴「いたっ！うわ、先生暴力はダメなんですよー！」

「うっせ！」

もう一回頭をしばいた。

Aは痛いとかいってるわりに笑っている。

「ったく、なんでこんなことすんだよ」

貴「だってアキラ先生全然来てくれないから」

ムスッとした顔でこっちを見るA。

「あのなー、いくら先生だからってさぁー...

油断してるとどうなるかわかんねーぜ？」

貴「えっ？」

「俺だって一応男なの。
だからそういう可愛いことされると我慢できねーんだよ」

くしゃっと頭をなでて離れる。

「次、そういうことしたらキスするからな？」