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 呪い  泉奏 ページ40

俺が住んでいた町の住民は歳をとらなかった。

俺はそれが当たり前なんだと思っていた。



いつも通り学校から帰るとある噂を耳にした。



昼頃に時計台の下でお菓子を売りに来る子供がいるそうだ。

見た目は普通の子供なのに、周りからは『呪いの子』と呼ばれてる。

その子が売っているお菓子を食べると歳をとるようになるらしい。

俺は少し興味を持ち、その子に会いに行くことにした。









貴「お菓子いかがですか?」


ニッコリと笑いながらお菓子を売っている彼女。

俺と同い年なのだろうか。

とても可愛くて優しい声をしている。

「こんにちは」

俺は彼女に話しかけた。


話していくうちに俺と彼女はすぐに仲良くなった。

町ですれ違う時も見かけたら手を振ってくれた。


俺はそれがとても嬉しかった。






ある日、彼女に会いに行くとしゃがんで何かを拾っていた。

それは彼女が必死に売っていたお菓子だった。

でもそのお菓子はぐちゃぐちゃになっていて、おそらく誰かに踏まれたのだろう。


俺は彼女の元へ走った。


貴「どうしたの...?」


不思議そうな顔をして俺を見る。

俺は落ちているお菓子を拾って袋を開けた。

そして中に入っているクッキーを手に取って口に入れた。

彼女は驚いたような顔をして俺を止めようとする。

俺はクッキーを飲み込むと彼女に微笑んだ。


「これ、すごく美味しいですね」

貴「え...?」

「あ、勝手に食べてしまってすみません。
いくらですか?」


俺はポケットから財布を取り出して彼女を見ると泣いていた。


貴「ご、ごめん!
美味しいって言われたの初めてだから……、お金はいらないよ」

「いや、でもそれじゃ」

貴「いいの。すっごく嬉しいから…」


泣きながら笑う彼女はとても綺麗で、俺はいつの間にか抱きしめていた。


貴「奏...?///」

「もし、良かったら俺と来てくれませんか?
ずっとAのそばにいますから...」


自分でも変な事を言っているのは分かっている。

でも抑えきれなかった。

いつの間にか俺は彼女...いや、Aに惚れていたから。



貴「...うん///」

恥ずかしそうにうなずくAの唇にキスをした。









あれから10年後、俺達は大人になった。

今思えば呪われていたのは町の方だったんだろうな。



貴「奏ー?ご飯できたよ!」

「今行きます」


パタン、と本を閉じてAの元へ向かう。



『Boy meets girl.』


俺が彼女に出会った時の話―――...。

 天秤  朴ウィト→← 落書き  神生アキラ



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設定タグ:アルスマグナ , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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Suzu(プロフ) - 妄想少女Mさん» いやいや、こちらこそありがとう(´▽`*) (2016年2月15日 22時) (レス) id: c7c74294ac (このIDを非表示/違反報告)
妄想少女M - Suzuさん» 全然大丈夫よ?フォローありがとう! (2016年2月15日 19時) (レス) id: 5a8f6227c1 (このIDを非表示/違反報告)
Suzu(プロフ) - 妄想少女Mさん» 遅くなってごめん!私もフォローした! (2016年2月15日 2時) (レス) id: c7c74294ac (このIDを非表示/違反報告)
妄想少女M - Suzuさん» フォローしたよ! (2016年2月14日 21時) (レス) id: 5a8f6227c1 (このIDを非表示/違反報告)
Suzu(プロフ) - 妄想少女Mさん» @のあとは「KenchanRyouna」だよ! (2016年2月14日 19時) (レス) id: c7c74294ac (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Suzu | 作成日時:2014年12月30日 19時

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