目隠し 泉奏 ページ33
いつものようにチャイムが鳴り、俺は教室を出る。
授業と授業の間にある休憩時間に。
俺はその時間めったに教室を出ない。
本を読むか、次の授業の準備、またはその前の時間の復習をしている。
でも最近は違う。
ある人を探しに毎回というわけではないが一回くらい教室から出ている。
「...いた」
俺は彼女の声が聞こえたほうを振り向くと楽しそうに話している姿が。
貴「でねでね、そこで猫がさ〜...」
ゆっくりと彼女の背後に回ってそっと手を回す。
そしていつものように聞く。
「...誰でしょう?」
貴「奏でしょ?そのしゃべり方は奏しかいないよw」
俺の手に自分の手を重ねて下におろす。
手袋をしていても感じる温もり。
でもそれはすぐに離れてしまう。
貴「そういえば何でいつも目隠しするの?」
彼女が首をかしげて聞いてきた。
「自分で考えてみてください」
素直に言えない俺はクスッ、と笑いながらごまかす。
彼女は俺を見て少し頬を赤く染める。
「どうしたんですか?顔が赤いですよ?」
貴「赤くない!って、奏今笑った...」
「俺だって笑いますよ」
貴「たまには、でしょ?」
「そうですね。面白かったら笑います」
貴「もっと笑えばいいのに。かっこいいんだし...」
「...ッ!?///」
いきなりは反則すぎませんか?
俺は手で顔を隠す。
彼女に顔が赤いのをばれたくないから。
「なら、貴方が笑わせてくださいよ」
貴「...わかった、絶対笑わせる!」
腰に手を置いて胸をはりながら自信満々に言う彼女の姿はとても愛おしい。
「その自信はどこから来るのやら」
俺はちらっとクラスの時計を見るともうチャイムがなりそうだった。
貴「あ、もうそろそろチャイム鳴っちゃうね」
「そうですね、戻りましょうか」
くるっと後ろに向いて歩き出す。
すると後ろから大きな声が聞こえた。
貴「絶対笑かしてやるから、覚悟しといてね!」
「目隠しする理由、考えといてくださいよ。A」
わかった、と言う声が聞こえて俺はまた微笑む。
俺がいつも貴方に目隠しをする理由。
気づけるでしょうか?
...いえ、貴方は鈍感だからきっと気づかないでしょう。
「必ず貴方が誰かと話しているときに俺は目隠しをするんです。
その瞳に、俺以外の人の姿をうつしたくないから...」
どうやら俺は、独占欲が強いようですね。
他の人は見なくていいから俺だけを見ていてください――――...。
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Suzu(プロフ) - 妄想少女Mさん» いやいや、こちらこそありがとう(´▽`*) (2016年2月15日 22時) (レス) id: c7c74294ac (このIDを非表示/違反報告)
妄想少女M - Suzuさん» 全然大丈夫よ?フォローありがとう! (2016年2月15日 19時) (レス) id: 5a8f6227c1 (このIDを非表示/違反報告)
Suzu(プロフ) - 妄想少女Mさん» 遅くなってごめん!私もフォローした! (2016年2月15日 2時) (レス) id: c7c74294ac (このIDを非表示/違反報告)
妄想少女M - Suzuさん» フォローしたよ! (2016年2月14日 21時) (レス) id: 5a8f6227c1 (このIDを非表示/違反報告)
Suzu(プロフ) - 妄想少女Mさん» @のあとは「KenchanRyouna」だよ! (2016年2月14日 19時) (レス) id: c7c74294ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Suzu | 作成日時:2014年12月30日 19時