8.【星に願いを】 ページ29
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「…あー…。」
苦手な古代魔法の教科書に突っ伏しながら、ショコラは少し前のことを思い出していた。
『キスしないって決めたんだから。ショコラからココにしてくれるまで』
キスすれば良いだけとは思うが、今までを振り返るとショコラからキスをしたのは過去に1度だけ。
しかも、頬に軽くしただけだった。
だって恥ずかしいんだもんと自分の中で弁解をしながらどうしようかと考える。
ナハトの意地悪な笑みを思い出し、向こうからは折れてくれなそうだなぁと苦笑した。
無意識のうちに、幸せそうな苦笑を浮かべていた。
今日はいつもより少しざわついた生徒の声が聞こえてきた。
可愛らしいツインテールの女の子と、黒い瞳の男の子とすれ違った。
「ねね、今日の夜は星が綺麗らしいよ!なんでも、流星群が見られるとか!」
「じゃあ、見に行く?」
なんて幸せそうな笑顔で2人は話していた。
きっと2人は付き合ってるんだろうなぁなんて想像しながらショコラは、歩き出した。
どんな話だったかな?
どこかの国には流れ星に向かって願い事を祈ると願いがかなうって話があったような・・・。
ナハトに言ったら子供っぽいって笑われちゃいそう。
なんだかんだ言っても結局頭に浮かんでくるのはナハトのことばかり。
ナハトが本当に大切なことを実感する毎日だ。
「私、相当重症だ・・・。」
ショコラは手のひらに氷を浮かべ、人とは感じさせないくらいの温度に冷やした。
そして、紅く火照った頬に手を添えた。
氷のように冷えた手が、頬を熱いと感じるのは何でなんだろうか。
「赤いのが治らない・・・!」
と内心少し焦りながらも、ショコラはさっき聞こえた流星群を見に行こうとナハトを誘おうと、ロッソカレッジの寮に向かって歩き出した。
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