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ショコラににも伝わってくる、ナハトの体温。
懐かしく、優しい暖かさだった。
『俺の…恋人になってくれますか?』
答えは "YES" か "NO" たった2つ。
"私なんかで彼に似合うのか?"
"もし、嫌われたら…"
マイナスで悲観的なことばかり、頭には思い浮かぶのに、
………それなのに。
彼があまりにも、強くて、優しくて、熱の込もった、赤い瞳を真っ直ぐ、私に向けるから。
そんなこと、言えないじゃないですか。
少し照れるような、単純な気持ち。
君に、真っ直ぐ届いたら良いなぁ。
「………ナハトさん。」
「何。」
いつもみたいに刺々しい感じではなく、不安を残しているような声。
ショコラの耳元で、ナハトが聞き返す。
なんだか、少しくすぐったいなんて思ってしまった。
「…ナハトさん、……私なんかでいいんですか?」
ナハトは、驚いたような表情を浮かべた。
反対に、次はショコラが不安そうな表情を浮かべた。
そして、ナハトはショコラの瞳を見詰めたまま、
「それ_____________ 」
ショコラに顔を近付けた。
「俺だったら____________ 」
そのまま、ショコラの頭を手で後ろから軽く支えて前に押し、ショコラの唇に、優しくそっとキスをした。
びっくりして目を見開いたショコラと、いつもの様な冷静なままのナハトの視線が絡み合う。
その瞬間、ナハトは少し口角を上げ、離れかけていた唇をもう1度、ショコラに近付けて、さっきよりは強めにキスをし直した。
そして、
「勝手に"YES"に捉えるけど?」
と、不敵な笑みを浮かべながら言った。
ショコラはナハトの顔を見て、赤く染まった頬を隠すように、自分の手で顔を覆った。
「YES以外に、なんの答えがあるんですかぁ…!」
その笑い方はズルい。
そうやって、私の心を鷲掴みにするんだもん…。
恥ずかしくて、嬉しくて。
赤い顔のまま、少しだけ笑ってしまいそうになったので、そんな表情を隠すようにナハトの胸に顔を自ら埋めた。
「…やっと、捕まえた。」
ナハトは、自分の胸に顔を埋めたショコラを撫でながら、優しい顔で呟いた。
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