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。
「………そっか。」
ナハトはショコラの言葉を聞いて驚いたように目を見開いた。
ショコラは何にも動じず、そのまま優しげな表情で笑っていた。
さっきまでは少し気まずそうに目を逸らしていたナハトは、今はしっかりとショコラに焦点を合わせている。
「……聞かないのか。理由。」
額を合わせた時、ナハトはショコラの頬に触れていた。
その時のナハトの手は、何かに怯えるように小刻みに震えていた。
何をそんなに怯えることがあるのだろう?
「うん。聞かない。ナハトが話したくなったら話せば良いよ。」
そう言っていつもの様にふわふわとした笑みをショコラは浮かべた。
話したくないことは、話したくなったら話せばいい。
誰にだって1つや2つの秘密はある。
勿論、大きな秘密なんて作りたくないし、黙っていて欲しくないとも思う。
でも、大切だからこそ、時間を掛けて向き合って行きたいと思ったのだ。
ナハトはショコラは心配して無理にでも聞いてくると思っていた。
しかし、意表を突かれて、驚きを隠すことが出来なかった。
「ショコラ、ありがとう。」
小声でそう呟き、ショコラをきつく抱きしめた。
きつく抱きしめられていて、ナハトの顔は見えないけれど、何だかナハトの声は少し涙声だった気がした。
「……いつか、教えてね。ナハト。」
ショコラは呟いた。
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