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「眩しい…」
「はいはい、ドラキュラじゃないならさっさと起きてシャキッとする!」
陽の光から逃げる様に布団へと頭を入れる弟達から布団を剥ぎ取り起こす。そうすると、光から逃れる術を無くし、弟達は仕方なく起床を始めた。
寝癖をいじりながら階段を降りていくと、皆が朝食の準備をしていた。降りてきたカイに気が付いて、ルナが微笑みかける。
「あらカイ、おはよう。今日はいつもよりお寝坊さんなのね?」
「おはよう、寝坊したよ…」
「起こそうか迷ったんだけどさぁ、爆睡してたからほっといちゃった。カイにーちゃんおはよぉー」
「起こしてくれて構わないんだけどな。おはようセオ」
意外にも早起きなセオが、皿を並べながらカラリと笑う。
他の皆とも挨拶を交わして、カイも朝食の準備を始めた。全員が揃ったのを確認してから最後に席につき、朝食に手をつけた。
鏡の前に立って、ワイシャツの襟にリボンを通して結ぶ。手袋を右手に嵌めれば、カイ・アンダーダウンの完成だ。いつも通り。
店の準備の為、カウンターへ向かう。床にモップをかけていたノアが、カイに気づいて顔を上げた。
「あ、そういえばカイ」
「ん? どうした?」
「さっき、ルナが店で出してる紅茶の茶葉が無くなるって言ってたぞ」
「そっか、分かった。もうそろそろ買い出しにも行かないとだしな…昼過ぎて客が落ち着いたら買い出しに行くか」
その会話を聞いていたのか、店の奥からセオとマリエルが顔を出す。
「カイお兄様、私も行っていい?」
「オレも行きたーい! 荷物持ちしてあげるからさ〜!」
「あー…そうだな、わかった。二人とも紅茶の茶葉を買う店知らないだろ? 来年からは店も任せられる歳だし、覚えておいて損は無いだろうしな。変な事しないならいいけど…ノアはどう思う?」
「いいんじゃないか? もういちいち問題起こす年齢じゃないだろ?」
「…だな。いいぞ、一緒に買い出し行こう」
すると、セオとマリエルは嬉しそうに笑った。
昼を過ぎ、客足が落ち着いた午後3時。カイはミリタリーコートを羽織り、自らを象徴する鹿の面を着けた。アゾットをポケットに忍ばせて、買い物バックを手に玄関先に出る。すると、白いペストマスクをしたノア、おぞましいコブラの仮面をしたセオ、レトロなテレビを被ったマリエルが続いて出てきた。
「全員アゾット持った? 危ない事はしないんだぞ」
「はーい」
「じゃあ行くか」
カイはフードを深く被り直し歩き出した。
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