No.129 ページ30
「翠、今合流した」
「遅い、何をしていた」
「別に……それよりこの子達の保護」
湿り気の帯びた夏の匂いに混じる硝煙と生臭さ。足元は鉄骨が剥き出たコンクリート片やひび割れたアスファルト。
目が眩む程の熱源は徐々に西へと沈み始めた頃、漸く三葉さんと合流出来た。招いてもいない可愛らしい来客達と共に。
ミサイルが落ちる前までは式で監視はしていたが、その後は式自体が焼け落ちてしまい、三葉さんの位置を把握する事が出来なかった。まさか携帯で連絡を取ってくるとは思わなかったが。
「戦闘中に電話を掛ける馬鹿が居るか。無線はどうした」
「アジトに忘れていった。それに翠なら電話に出ながら戦うのなんて簡単な事でしょ」
「あぁ、そうだな。だが、もしもの事態を考えなかったのか」
「えー。でも、大丈夫だったじゃん」
「…………その子達を医療部隊に引き渡す」
「分かった」
諦めた。この少女には何を言っても無駄だ。
溜息を吐きながら腰のポシェットの中に手を突っ込む。その間も三葉さんは「拷問は止めてよね」と先程電話で話した内容を反復する。三葉さんは僕を見境無く拷問するヤバい奴だと認識しているのだろうか。流石にそこまでトチ狂っては無い。
ポシェットから鶴の折り紙を取り出すと、その小さな造形物に言霊を吹き込む。これがこの式の役割だ。
「おい、そこの少年」
「ひっ、ひゃい!」
三葉さんの後ろでフライパンを持ちながら、10歳にも満たない少年の前まで歩み寄り、その場でしゃがみ込む。怖気付く少年の手を強引に取ると、先程仮初めの命を吹き込んだ鶴の折り紙を握らせた。
「御守り、絶対に無くすなよ。それとそんな役にも立たない武器は捨てろ。これからの時代、情報と言葉が最大の武器と成り得る筈だ。どうか忘れてくれるな、武力に頼らなくとも勝つ方法は幾らでもあると」
「え、と……?」
「今は理解出来なくて良いよ」
少年の頭に手を置いて軽く撫でた後、立ち上がる。少しだけ立ち眩みしたが、唐突に襲って来た吐き気を無理矢理押さえ込んで、三葉さんに向き直る。
「三葉さん、この子達を医療部隊に引き渡したら、拠点周辺の防衛を頼む」
「翠は行かないの?」
「僕はまだ散らかってるゴミを掃除してくる。 頼んだよ」
「……了解」
三葉さんに子供達を引率させて、僕はその背が立ち込める砂埃で見えなくなるまで見送る。
(無能力者……普通の、至極普通の子供達)
今まで殺して来た中にも居た無力な存在を前に、とある人物の姿が浮かんだ。
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花梨(プロフ) - 皆さまお疲れ様でした〜 (2018年9月14日 22時) (
レス) id: e3aad0174a (このIDを非表示/違反報告)
透明少女(プロフ) - お疲れ様でした！あまり参加出来ずにいて申し訳ありませんでした…！本当にありがとうございました！！ (2018年9月14日 21時) (レス) id: 6dddb2cb16 (このIDを非表示/違反報告)
睦都(プロフ) - 初めからずっと見てました！主催者様、参加者様の皆様お疲れ様でした！剣士君たちとても好きです(*^^*)ほんとうにお疲れ様でした (2018年9月14日 19時) (レス) id: 3a040f6594 (このIDを非表示/違反報告)
羊素。(プロフ) - 遂に完結ですか…少し寂しい気もしますが、主催者様、及び参加者の皆様、お疲れさまでした。 (2018年9月14日 5時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - お疲れ様でした！ (2018年9月13日 18時) (レス) id: c46d432f11 (このIDを非表示/違反報告)
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