No.116 ページ17
「アイツらは…戦闘中って感じか。……げっ、また瓦礫落ちてきた」
「ここも危険だな……。アジト内はマジで危険だし、一度外に出たらどうだ?」
自分の仲間たちが漸く事の本質に気づいたその頃、翼と琉架は相変わらず安静に食堂にいた。
と言っても、瓦礫は落ちてくるし銃撃で壁に穴は空くしで散々な状況になっていた。
琉架の判断は絶対間違ってはいない。だが、翼は椅子から立って言う。
「……そうだな。でもとりあえず、俺は治療用のものと皆が無事か確かめに行ってくるよ。
万が一大怪我した時のための用意の物とか、結構壊れやすいからさ」
「……なるほどな。じゃあ俺も、アジトの中にいるよ。
外の方が多分危ないし、加勢に行ってもこの足じゃ足手纏いだろうしな」
納得したように琉架が頷く。
その後、ゆっくりと拳を握りしめて翼は言った。
「ああ、それが良い。でも、頼みがあるんだ。
____________それが終わった後の俺の行動を、許してくれ」
「……は?それ、どういう…ッおい!翼!どういう事なんだよ!なあ!」
引き止めようとする琉架の声に背を向け、何も言わずに医務室へと向かった。
扉を開けると、思った通りの様子が広がっていた。大抵が硝子の備品は粉々に砕け散っていた。
「あーあ。こりゃ高くつくぞ、備品。……まァ、今の東京の修復費よりかはマシだろうがな」
備品と同じく粉々に砕け散っている窓の外を見て、呟いた。
その後いつもは鍵をかけている棚に向かい、鍵を開けて確認した。
“緊急時の為に”と翼が取って置いていた備品の数々が入っている、二つの鞄があった。
「……でも、良かった。治療用のメスとかそれ用の医薬品は無事だ。
これで万が一の時のためにも……ラビッシュのためにもなる」
翼は知っていた。
かつて自分の弟子であった境月伊織は、自分より何倍もしっかりしているが、こういう時の装備はあまりしていないという事を。
かつての自分の先生であった
今こそ、自分という人間が……誰かの為に生きる理由になるべきだという事。
「……さて、行くか。ラビッシュのとこに、コレを届けに」
破損した窓から足を踏み出し、飛び降りた。
自'殺志願ではない。邪魔をされずに、生き抜くための手だ。
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花梨(プロフ) - 皆さまお疲れ様でした〜 (2018年9月14日 22時) (レス) id: e3aad0174a (このIDを非表示/違反報告)
透明少女(プロフ) - お疲れ様でした!あまり参加出来ずにいて申し訳ありませんでした…!本当にありがとうございました!! (2018年9月14日 21時) (レス) id: 6dddb2cb16 (このIDを非表示/違反報告)
睦都(プロフ) - 初めからずっと見てました!主催者様、参加者様の皆様お疲れ様でした!剣士君たちとても好きです(*^^*)ほんとうにお疲れ様でした (2018年9月14日 19時) (レス) id: 3a040f6594 (このIDを非表示/違反報告)
羊素。(プロフ) - 遂に完結ですか…少し寂しい気もしますが、主催者様、及び参加者の皆様、お疲れさまでした。 (2018年9月14日 5時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉 - お疲れ様でした! (2018年9月13日 18時) (レス) id: c46d432f11 (このIDを非表示/違反報告)
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