掃き溜めの星。

No.115 ページ16

「……林檎!」
「ミルク、めんどくさそうな事やってるね。手伝う。……あと、かわいー助っ人サンもいるよ」

笑ってそう言った。

“病み上がりでなにやってるのさ”

そんなこと、彼女が言うはずないのだ。

剣を構え直し、人を串刺しにしながら彼が問う。

「どこから連れて来たんだ」

「付いて来たんだよ」

私が連れてくると思うの…？

そう聞けば、何だかんだ連れてくるだろ、と彼は返してきた。

声かけなくてもついてくるよ、とだけ返して彼女は何処からか暗器を取り出した。

その暗器で大人をバラバラにする。

「首領サンと一緒に戦うのって以外と楽しいね。嫌いじゃないよ…」

そんなことを呟いてみたりした。


すべての大人を殺し終えたとき、人影が見えた。

…あの黒い人って。

「ねぇ…ミルク」

人影を見つめたまま動かない彼に話しかける。

返事はない。それでも続ける。

「私、手伝いは終わったから。この子たち連れて帰るね…」

それでも返事はない。

「二人でお話、楽しんで」

次も返事はない。
だけど、林檎にはミルクが頷いたように見えたから良しとする。

「…行くよ」

「あの人、置いてっていいの？」

「いいの。あの人実は吸血鬼だから。死なない」

違うと分かりきっている嘘で子供たちを納得させ、おもむろにスマホを取りだす。

「もしもし、翠？

…え、戦闘中なの？まぁ翠なら戦闘しながらでも大丈夫でしょ…？現に今電話出てる訳だし。
よくスマホ壊れなかったね。

…早く要件話せ？仕方ないな…
これからそっち戻るって言いたかっただけ…
子供沢山連れてるけど拷問しちゃ駄目だよ…

って、あ、切られた…早く帰ろ」

そして林檎は首領を残し、小さな隊列を作りながらアジトへ再び歩き出した。

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