No.90 ページ41
これは優しくも浅はかで、何処までも愚かで残酷な可能性の話。
一番初めに出会った人物が首領さんではなく、ラビッシュの首領・黒瀬剣士だったなら、僕は迷わずラビッシュに入っていたかもしれない。理由は様々あれど、強いて言うなら首領さんと黒瀬剣士はとてもよく似た存在だと言う事だ。
僕に引導を渡すのは、純粋で子供染みた人間が相応しい。あの二人は真っ先にそれに該当する人間と言って良い。
だが、所詮彼等は通りすがりだ。何処にでもいる様で何処にも居ない、只の通りすがりに過ぎない。
そう、この転落した人生を修正する気の無い僕を掬い上げる存在は何処にも居ない。
人生において、自分の意思とは関係無く巡ってくる吉凶禍福の事を、人は運命と呼ぶ。
なら、僕はその運命に見放された哀れな
誰も認めてくれない、誰も見てはくれない。例え人を引き千切って、犯して、貪って、殺し尽くした所で意味は無い。
誰も見てくれないなら、意味は無い──
「これより、拠点に侵入した外部分子を排除する。それぞれ持ち場に着け」
三葉さんが抜けた事により戦力が削がれてしまった事、いつのまにか緊急治療室から抜け出し、ラビッシュ拠点へ向かって居た首領さんの事、食堂で喧嘩をして居たらしい浅葱とロストさんの事、赤嶺が慌てた様子で報せた侵入者の事。
その全部がどうでも良かったし、同時に自由気ままに動く彼等が心底羨ましかった。
(態々此処に来たという事は、何かメリットでも見出せたのかな? しかも、やって来たのがラビッシュの上層部と来た……)
ナイフを入れ替え、真新しく折られた折り紙をポケットに詰め込んで、拠点の外へと移動する。
式からの情報では、正面から一人。そして、裏を取るかの様にもう一人が裏口から侵入しようとしている。
「僕の索敵を舐めてもらっては困るね。さて、どうしたものか」
戦力が削がれている今の壱番隊は、おおよそ弐番隊の前座と言ったところか。
正面突破も得意な僕の部隊だが、実の所を言えば裏方も得意だった。寧ろ、力任せが過ぎる新人が多い弐番隊のフォローは最早得意分野だ。
「隊長、此方右京。持ち場に着きました」
「いっちゃん、こっちも準備OKよ」
インカムから部下の声が聞こえる。その声に自然と頰を緩めると、「了解」と一言伝えて、深呼吸をする。
(僕が
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すふ丸@課題消化につき低浮上(プロフ) - 盛り上がってますね……!更新ペースが落ちないので凄く安心感があります。えげつない量の課題を与えられてしまったため中々更新はできませんが、皆様が第三部にどう繋げていくのか、企画参加者として今後の展開を楽しみにしております\(^o^)/ (2018年7月29日 13時) (レス) id: d6d481a1f7 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 第二部、二つの組織がぶつかってからの怒涛の更新……! 皆様お疲れ様です。 (2018年7月29日 13時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
一酸化炭素。(プロフ) - 遂に幻聴が聞こえ始めたかもしれないウチの子…誰か助けて (2018年7月27日 12時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - あはー、また謎の文字化けしてる……。一体なぜ。 (2018年7月27日 11時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - Sakiさん» 淋ちゃんは流架さんラブなので必然的に出ますよw (2018年7月26日 21時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)
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