No.89 ページ40
______「浅葱さん、私は忘れていない。青哉が死んだのは、浅葱さんがラビッシュを抜けたからだ。お前がミルクに青哉の情報を流した。そして、戦いが起こった。」
______「私もお前も、黒瀬も、ミルクも、もう後戻りなんてできないんだよ。突き進むしかないのさ。戻ろうとするなら、今ここで殺してやろうか?」
銃口を突きつけられた冷たさが、まだ額に残っている。
それが、心の内にある躊躇いをさらに加速させた。
食堂から出て行ったロストアイズ____即ち、シズ。彼女はラビッシュに相当酷い思いをさせられた。
遊び仲間だった三人のうち、一人を亡くし、自分も大きな傷を負った。
……その中の一人であった自分が、その二つの伏線を引いていたとも言える。
正直、あの時琉架の放送がなければ自分は死んでいたに違いないだろう。
避けたとしても、ロストアイズの超人的な反応速度には敵わなかったように思える。
思考を巡らしていた突如、食堂の扉が開いた。
「……おい、無事か?翼」
「……嗚呼、何とかな。やっと車椅子慣れて来たっぽいな。……ルカ」
お互い、少し空気が重い。
過激化して来ている、戦争。それぞれの本部がある街は崩壊の道を辿っている。
テレビやネットはこの事で持ちきりだ。
「いつもの店も無くなっちまったかなあ……」
「……さあな。無くなってないことを祈ろうぜ」
「みんなでワイワイガヤガヤ出来ることって、幸せな事なんだなあ。
でもその幸せって、俺たちが数え切れないほど殺’してきた人達の遺骸の上にあるものなんだよな」
「……」
翼の口は、止まらない。
誰よりも、壊し、治してきた彼だからこその発想だった。
「俺はめちゃくちゃ沢山の人を治し、同時に殺’して来たけど。
それでも何より嬉しいのは、患者とか其の家族の笑顔なんだよな。もしかしたら、俺はまだ“光”のままで生きて居たいのかも知れねぇ。
ロストにさ、後戻りは出来ないって言われたんだよ。
そうだよ。時間は二度と戻せない。そう言う能力だとしても、一時的なものの方が多い。
だから、ここまでやって、殺’って、演ってきた何もかもを。
俺たち全員で、未来でやり直したいなって思う」
「……んな事、出来るのか?」
「確率が1%でもあるなら、十分だよ。
それを乗り越えられるだけの沢山のチカラが、俺たちにはある。
……でも、こんな絵空事俺が言っても1mmも効果無いと思うんだ。だから、頼む。
レブルの、首領補佐であるお前からこの事を伝えて貰いたい」
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すふ丸@課題消化につき低浮上(プロフ) - 盛り上がってますね……!更新ペースが落ちないので凄く安心感があります。えげつない量の課題を与えられてしまったため中々更新はできませんが、皆様が第三部にどう繋げていくのか、企画参加者として今後の展開を楽しみにしております\(^o^)/ (2018年7月29日 13時) (レス) id: d6d481a1f7 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 第二部、二つの組織がぶつかってからの怒涛の更新……! 皆様お疲れ様です。 (2018年7月29日 13時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
一酸化炭素。(プロフ) - 遂に幻聴が聞こえ始めたかもしれないウチの子…誰か助けて (2018年7月27日 12時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - あはー、また謎の文字化けしてる……。一体なぜ。 (2018年7月27日 11時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - Sakiさん» 淋ちゃんは流架さんラブなので必然的に出ますよw (2018年7月26日 21時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)
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