No.76 ページ27
「_________!」
我らがボス、ミルクが重い瞼を開けた。
ロストアイズが
だが今回に限っては、五日で回復できたのは奇跡と言うしかない。
「……志夕。他のみんなを呼んで来てくれ」
「りょーかい、たいちょー」
口調とは違い緊迫した顔で、志夕は駆け足で階段を駆け下りた。
それとほぼ同時に、ミルクがベットから上半身を離した。
「……翼。私は、何か間違っていたのか?」
「どうしてそう思う?」
翼がそう聞くと、ギリッと歯を食いしばり言う。
「私は…!あの子と一緒に世界を変えようと思っていた……!
だが現実はどうだ!?私はあの子が仕切る組織のメンバーを敵と認識し、傷つけていた!
なんで……なんで、思い通りにならないんだよ!苦しめられるのは、私達だけなんだよ!
本当は、同じ筈なのに…ラビッシュもレブルも……殺’し合わなきゃいけないの!?」
その叫びには、本心と激情が混濁されていた。
恐らく自分より幼いであろう青年に、翼は過去の自分を重ねた。
暫く黙って椅子に座っていた翼は、机の上のカルテを手に取り、言った。
「……さあな、分からないよ。俺にも。だがな、一つだけ分かってる事がある。
元ラビッシュの俺だからわかる事だが……剣士は、ミルクを殺そうとはしてない筈だよ」
「な……どうして、そう思う?」
驚いたような表情のミルクに、はにかみ笑いを浮かべて言う。
「今回の件、確かにミルクは死にかけてた。でも原因は傷口が多い事が原因の出血多量なんだよ。
しかも一つ一つの傷が、致命傷をわずかに避けた位置にあるんだ。
即ち、剣士はミルクを殺’すべきだと分かっていても、殺’そうとしなかった」
「でも…!それは、あの子が弱っていたからかも……!」
「じゃあ逆に聞くけど、怪我をしてる状態で標的を外すほどアイツは弱い奴なのか?」
突き詰めるように聞く。
すると、唖然とした顔でこちらを見つめ、やがて俯いた。
「……ミルクが持ってる、そのお守り。剣士も大事そうに持ってた。
さっき剣士に連絡したら、お前とほぼ同じこと聞いて来たよ。全く、本当に表裏一体だ」
「……敵の電話番号を持っているのか、随分変わってるな」
「まあな。でも一番変わってるのはアイツだ。
だって、俺が敵になろうとしてた時に救急箱に連絡先の紙入れるんだぜ?」
二人で、彼についての話をした。暖かい雰囲気に包まれていた。
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すふ丸@課題消化につき低浮上(プロフ) - 盛り上がってますね……!更新ペースが落ちないので凄く安心感があります。えげつない量の課題を与えられてしまったため中々更新はできませんが、皆様が第三部にどう繋げていくのか、企画参加者として今後の展開を楽しみにしております\(^o^)/ (2018年7月29日 13時) (レス) id: d6d481a1f7 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - 第二部、二つの組織がぶつかってからの怒涛の更新……! 皆様お疲れ様です。 (2018年7月29日 13時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
一酸化炭素。(プロフ) - 遂に幻聴が聞こえ始めたかもしれないウチの子…誰か助けて (2018年7月27日 12時) (レス) id: dc73ea1538 (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - あはー、また謎の文字化けしてる……。一体なぜ。 (2018年7月27日 11時) (レス) id: 70aae954fa (このIDを非表示/違反報告)
ドットコム(プロフ) - Sakiさん» 淋ちゃんは流架さんラブなので必然的に出ますよw (2018年7月26日 21時) (レス) id: e6a479853a (このIDを非表示/違反報告)
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