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□ 第111話 誰かが側に□ ページ11

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「え…ねぇデウスに何があったの? どうしたの?」

 部屋に飛び込んできたステラに、急にいつもと違うパソコンを出してくるバラト。先程バラトが電話をしていた時の話題はデウスだった。となれば何かデウスにあった事になる。千秋の心臓は、不安でバクンバクンと脈打っていた。

「デウスが誰かに連れ去られたのかも知れないんだと。もしかしたらヤバいぞ」
「デウス、ひとりで連れ去られたの…?」
「は? 当たり前だろ他に誰が──」
「今デウスはひとりにしちゃダメなんだよ…! だって…ずっと不安そうな、苦しそうな顔してたし…、このままだったら、デウス誰と戦っても勝てないよ!」

 千秋にはデウスの背後にある思いはハッキリとは分からなかったが、なんとなく自分を掴めないでいるのは分かった。苦しそうにしていた。あんなに思い遣りがあって、笑顔が眩しいほど輝いているのに。いや、だからこそ。輝いていない彼の作り笑顔は、見て直ぐ分かってしまった。千秋は知っている。“思い”の強さを。


 混乱したままのデウスでは誰にも勝てないだろう。
 デウスは千秋と同じだった。固いように見えて、強いように見えて、本当は少し脆くて。その少し脆い所を強く突くと、バラバラと崩れてしまう。強い故に、崩れるときは一瞬なのだ。そしてそれを再び組み立てるのは不可能。

 つまり“再び造る”しかないのだ。自分の強さを。


「わーったよ。お前の言ってることも思ってることも分かった。だけどな、お前に今やれることはなんにもねぇ」
「…それ、は…そうだけど…」
「俺とステラがすぐ見付けてやる。お前はそこでデウスの無事を祈って、探しに行く準備でもしてろ」
「…うん!」

 バラトはニッと笑った後千秋の額を拳で小突くと、再びパソコンに向き直った。部屋には再び静寂が訪れ、パソコンのクリック音やタイピングの音しか聞こえなくなった。千秋は、小さい鞄に折り畳み式のナイフや懐中電灯など、何か役に経ちそうなものを詰め込んだ。


「あった。この黒のワゴン車だよね。方角的に南になる」
「南だな、分かった。ここまでわかりゃあ余裕だ」

 二人は防犯カメラのデータをハッキングしては映像をチェックし、証拠を消してという作業を繰り返していた。地道な作業であるが、天才二人によって進められている急ピッチ捜索作業によって、一時間後には大体のデウスの位置は割れていた。

□ 第112話 濁った瞳 □→←□ 第110話 自分と相手の □



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設定タグ:オリジナル , 小説 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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くろせ(プロフ) - 桐箪笥さん» あぁ! ホントですね!! ご指摘ありがとうございます、訂正致します! (2019年9月1日 20時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
桐箪笥(プロフ) - 36ページの違いドロドロは血がじゃないでしょうか?違うのなら申し訳ないです (2019年9月1日 17時) (レス) id: c5094549cd (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - Noel*26さん» ありがとうございます! やっと出てきましたね〜、ここまで来るまで長かった…(笑) (2019年9月1日 6時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
Noel*26(プロフ) - 相変わらずの早起き更新お疲れ様です( ^ω^)ついに「ストックホルム症候群」という単語が本編に出てきましたね...うー、続きが気になる気になる木です(は?)これからも応援しています( ^ω^)更新がんばって下さいー (2019年8月31日 7時) (レス) id: 3a6dfc07f6 (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 桐箪笥さん» ありがとうございます! 頑張ります! (2019年8月26日 22時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くろせ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年7月10日 5時

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