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□ 第52話 絶世の美女 □ ページ2

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「…て言うか、ずっと思ってたんだけど犯罪者同士で会って素性バラされたりしないの?」
「そりゃあな。…まぁそいつにバラす度胸がある前提だけどな。基本もしバラしたら………」
「……ひッ」
「死ぬよりも辛くて怖くて苦しい…」
「いやもういいよ!!」

 相変わらず楽しそうに怖い話をする誘拐犯に、千秋は冷や汗をかきながら溜め息を吐いた。ただ先程からの様子を見るに、バラトと顔見知りの犯罪者は割といるらしい。逆に、今日初めて見る者も多い。何十年の犯罪者人生の中で数回しか来ていないバラト。珍しく思われる訳だが、千秋からすれば常に日常を共にしているので最早驚きも恐怖も感じない。…いや、恐怖は感じる。

 バラトは「犯罪者と知り合いになるとめんどくせぇぞ」と酒と思われる紫の飲み物を少しだけ飲んだ。まぁもうバラトと知り合いの時点でかなり面倒な人生になっているのは間違いない。千秋はバラトもお酒飲むんだ、なんて片隅で思いながらふとバラトより奥側の空間を見ると、目を見開いた。


「バラト〜〜〜〜ッ!!」


 煌びやかな見た目をした美女が両腕を開いてこちらへ走ってくる。バラトはそれに気が付いてそちらを見る。恐らく、「あ?誰だよ」と言おうとした。しかしその言葉は途中で遮られる。美女の両腕はバラトに絡みつき、唇はバラトの唇に。つまりキスである。しかも深い方の。

「き、っき…………!!!」
「ありゃ」
「……はぁ…」

 千秋は映画やドラマでしか見たことがないようなディープなキスに顔を真っ赤にして動揺する。動揺しているのはバラトも同じ。見るからに嫌そうな顔をしている。ステラは眉を下げて声を漏らし、デウスは溜め息を吐いた。バラトは青筋をビッキビキに立てながら美女を引き剥がすと「てめぇ…」と呟いた。どうやら顔を知っているようである。

「パトラか…?」
「バラト!私を覚えていてくださったの!?嬉しい、嬉しいわ!」
「前にも同じような事して鼻折られかけたの覚えてねぇのか…?ホントに鼻折るぞ

 パトラと呼ばれたその女性。肩より上で切りそろえられた艶やかな黒髪に蛇のようにうねる髪飾り。瑠璃色の宝石のような瞳に柔らかそうな唇。整ったその顔立ち、美しい肌、スタイルの良さ、どこからどう見ても、誰がなんと言おうと絶世の美女だった。名前はクレオパトラからとったのかな、なんてどうでもいい事を考えて胸のモヤを晴らそうとする千秋だった。

□ 第53話 裏表のツギハギ従者 □→←■ 第四章 犯罪者総会・閉幕編 ■



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設定タグ:オリジナル , 小説 , 恋愛   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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くろせ(プロフ) - 紅葉さん» ありがとうございます!検討致します (2019年5月10日 18時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 千秋ちゃんが大犯罪者でバラトが誘拐される立場逆転物語を見てみたいです。 (2019年5月10日 15時) (レス) id: 95b6da62c6 (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - そうですか……わかりました!企画の検討お願いします! (2019年5月10日 0時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - 白雪の鴉亭さん» 猩々木ちゃんは、千秋(嘘吐きさん)のターンで殺されたのではなく、投票で殺されたので、本当に死んでしまった形になります。企画の件、検討します! (2019年5月9日 23時) (レス) id: 172c2d6dd4 (このIDを非表示/違反報告)
白雪の鴉亭(プロフ) - 募集したキャラのその後とか書いて欲しいです!(ただ単にポインセチアがどうなったのか気になるだけですが……) (2019年5月9日 23時) (レス) id: 033af8111d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くろせ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年4月28日 22時

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