もうなにもわからない【実話】

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一度、作文を書く機会がありました

私はその作文をコンクールか何かに
応募しようと思いました

応募できる人は応募してね、と先生に言われてたから
見られても問題なかったし

応募用紙には
名前、性別、学校名、連絡先を書く欄がありました

埋めれる欄は埋めたけど
性別の欄だけは空白にしました

まず性別がわからない
それに書きたくなかったんです
書いたら、それが私の性別で
その通りに生きないといけないって
決められる気がして嫌だった

そのまま登校したら、友達に

「なんで火乱は性別書いてないん？」

と聞かれました
別に書かんくてもいいやん、と返そうとしたけど

どうとられるのかって

もしかしたら性別を書かないことは
普通じゃないのかもしれない
変なのかもしれない
おかしいのかもしれない
異常なのかもしれない

怖かった
もし、性別がわからないことが変だと思われたら
拒絶されたら、、、って
その子と仲が良い方だったから余計に

「えっ！？ あっ、ホンマや！ 忘れてたんかもー」
「なんで忘れんのーw」

みたいな感じでやり過ごしました
性別の欄には〈女〉と書きました
無理やり笑って空気が悪くならないようにしました
その友達にこんなこと考えてるってバレないように

提出まで時間があったから今のうちに消そうかと
何度も何度も考えました
でもまたそれが見つかって

「なんで消したん？」

って聞かれたら
バレるかも、変に思われるかも
そう考えたら消すことができませんでした
もう少し頭が回るなら上手い言い訳を考えられたのかな

その後は授業に身が入らなかった
自分が変なのかってずっと考えてました

考えていたら頭が痛くなってきました
考えすぎかなって考えることもやめました

その後はちゃんと授業を受けました
でも休み時間、給食中、部活中、下校中、塾
寝る前ですらそのことが頭をよぎりました
ずっとずっと執念く付き纏ってきました

自分のことなんだから逃げるなよ

と言われてるようでした

どうしたら当たり前のように自分の性別を書けるのかな
これを自覚していなかったら悩まなかったのかな

自分の性別を書くことが余計に嫌になりました
他の子たちと違う自分も、もっと嫌いになりました

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