貴方を守りたい [トム・M・リドル] (ページ32)

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第30話ページ32

そこには、トム君にそっくりな男の人がいた。

そっくりと言ってもこの男の方が老けている。

ああ、この人がトム・リドル・シニアなんだ、と思った。

それは、トム君も同じなようで、「お前が、トム・リドルか。」と聞いた。

シニアのほうは、驚きで声も出ないようだ。

やっと口に出た言葉は

「そ、そうだが、、、お前はまさか、あの女の、、、、、！！」

などという、つまらないものだった。

トム君も、私と同じように思ったのか、馬鹿にしたような笑みを浮かべた。

　「そうだ、お前が捨てたメローピー・ゴーントと、お前の間にできた、哀れな子だよ。」

　「お、お前にやる金はない、助ける気もない、出ていけ！！そして、お前の母親にも伝えておけ！！！」

何を勘違いをしたのか、ヒステリックに叫んだ。

私は腕を組みながら、英語で言う。

　「彼女、メローピーは彼を産んだ１時間後に死んだのよ。」

シニアは何も感じていないようだ。

　「そうなのか。ふん、当然の報いだ。」

さすがに、それはないだろう。

メローピーも悪いとは思う。トム君を愛せなかったことや、愛の妙薬で愛を得ようとしたこと。

しかし、こいつははなから突き放している。

しかもそれが、どのような結果を生むのかも考えない。

せめて、実の息子に少しでも愛情を感じることができる男だったらこうはならなかっただろう。

トム君が、モーフィンの杖を取り出したのを見、思う。

　「もう少し、脳みそがあるとおもっていた。」

トム君のそのセリフの後、放たれた緑色の光と共にシニアが崩れ落ちる。

正直、私もトム君と同意見だ。

シニアはメローピーが魔女だということ、お腹に子供がいたことも知っていたはずだ。

なら、復讐のようなものがある可能性もある、ということは分かるはずだ。

彼は、自分のために二人を捨てたのだから。

意外とあっけないものだな、と思った。

一応、どんな人でも死は死なので、歩き出したトム君の陰で手を合わせた。

その後、トム君はシニアのヒステリックな声を聞きつけ、やって来た自分の祖父母も同じようにして殺した。

次は、原作通りゴーント家に行き、モーフィンに偽りの記憶を植え付け、ゴーントの指輪を奪った。

そして、私たちはあそこへ帰った。