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流石の私も素っ頓狂な声が出る。どんなに教室が嫌だと言っても私だって成績があるし、ゾム先生は教育実習生。なのに、そんなんでいいのか。
「戻りたくないんやろ？」
ゾム先生が急に真剣な目で見つめてくるものだから、逸らせなくて。
「話してみい。あー…なんや、ちょっとは楽になるやろ」
その言葉に、妙に納得してしまって、さっきまでは巻き込みたくない、なんて思っていた癖に、ぽつりぽつりと話し出した。
話し終わる頃には、日陰にいるというのに、私もゾム先生も汗だくだった。
「なるほどねぇ」
ふむ、とゾム先生は考えている。なんと言われるだろうか。
唇を噛む。俯くと、頬を汗が伝った。
励ましの言葉なんて、いらないから―――
「お疲れ様、A」
そんな声と同時に、頭にぽんと手を置かれる。驚いてゾム先生を見た。
「頑張ったんやな」
そう言いながら何度もぽん、ぽんと頭を撫でられて、汗と一緒に涙が流れる。
「あーあー、泣かんでや。可愛い顔が台無しやろ」
そう言いながら、手で私の涙を拭った。汗も一緒なのに、そんなことしなくていいのに。
「せんせ、」
「なんや」
「ごめん、なさ」
「こら」
言い終わる前に頭にチョップをされた。ぽかんとゾム先生を見上げると、けらけらと笑う。
「間抜けな顔しとんで」
「…先生のせい」
「ちゃう。ごめんなさい、やないやろ」
その言葉で、昨日、ゾム先生が言っていたことを思い出した。
「…ありがとう、ございます」
「どういたしまして」
そう言いながらにかっと笑うゾム先生の笑顔は、太陽なんかよりずっと眩しく見えた。
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