↓ ページ6
やっぱり優しいなぁ、だとか カッコイイなぁ、だとか。
普段は嫌なおつかいだって今なら何度でも行ける気がした。
と言うのも、お母さんに頼まれて買い忘れたらしい牛乳を買ってスーパーを出た所だから。
すれ違う小さい子に怪訝な目で見られる程には気持ち悪くにやにやしているらしく、一旦頭を冷やすために遠くを見ることにした。
_ゆっくりと沈む太陽に伸びる2つの影。
あのカップルが私とうつ先輩ならいいのに、なーんて。
『え、あれって…』
見れば見るほど男の方がうつ先輩に見えてきて、でも先輩は彼女いないって言ってたから違うと思うけど、でも。
なんてぐるぐる考えていたものもぶち壊される。
心底幸せそうに微笑む男性はどう見てもうつ先輩で、隣に並んでいるのはうちの学年でも有名な3年生のマドンナ。
そっか、彼女はいない けど、好きな人 はいるんだ。
そう理解したあとの事は何一つ覚えていなくて、 気付いたら私は登校中で、昨日の全ては夢だったのではないか、そもそもうつ先輩に送って貰ってないのでは。
なんて現実逃避しか出来なかった。
_
｢Aちゃーーーーん！？｣
『なんですか』
やはり今日も部活は先輩とふたりで、昨日のことを相談するか否かで永遠に迷っている。
｢なんかあるなら聞くで？｣
私の表情から察したのだろうか、良き相談相手である先輩は流石だ。
『うつ先輩にも好きな人っているんですね』
｢え？｣
いきなり出た言葉はあまりにもトゲトゲしくて、でもそれがストッパーだったらしく、口からぼろぼろと言葉が零れていく。
『昨日うつ先輩が家まで送ってくれて、彼女がいないことも聞いて、でもその後先輩は綺麗な先輩と幸せそうに笑いあってたんです。』
『私は何度挨拶しても何度お話ししても初対面扱いで、』
『ｯほんとなんなんですか』
頬を暖かいものが伝っていき、それを先輩の大きな手が拭う。
｢大先生なんか辞めようや｣
『え？』
｢俺ならAちゃんの事泣かせへんし、そ、そりゃあいつよりは気遣いとか出来ひんかもやけど…｣
｢す、きやから、付き合ってくれませんか。｣
あまりにも真剣な目に涙が次々と零れる。
『_明日返事させてください。』
なんで泣くねん！ とオロオロする先輩にそれだけ告げて部室を後にする。
先輩を異性として好きだと感じた事はないが、嬉しかった。
それでも返事を明日に伸ばしてもらったのは、私の心の整理のためだ。
うつ先輩に告白するか、否か。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 126人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
