シェアハウス ページ19
【幼馴染って難しい?】
「Aちゃん、目玉焼き焦げるで」
『え、嘘!!』
隣の部屋から聞こえてくる、バタバタと何かを探すような物音。
直後扉が大きな音を立てて開き、中からAちゃんが出てきた。
『鬱くん、目玉焼き焦げてない??焦げてない???』
「何回聞くねん…。ほら、やっといたで」
『さすが鬱くん!皿に乗せるの苦手なんだよなぁ』
彼女とはシェアハウスをしている。理由は特にない。…いや、幼なじみが心配だった、というのが理由になるかもしれない。
今年で俺らは25になる。今まで普通の友達として過ごしてきた、恋心など抱かないだろうと思っていた。
シェアハウスを始めたのはふとしたきっかけからだ。
いつだったか、彼女から電話がかかってきた。仕事場が変わったのだが、少し遠いところで引っ越さなくてはならない、と。
気になって場所を聞いてみればちょうど俺の住んでいる地区。
俺の家は広い。1人で住むには広すぎるくらいには。誘ってみたのだ、シェアハウスをしないかと。まぁシェアハウス言うても色々あるんやけど。
男とやから拒否されそうやなぁなんて思っていたが彼女からは喜びの返信がかえってきた。そういえば男女関係なく仲良くするようなやつやったなぁ、なんて苦笑していた時期もある。
『鬱くん仕事は?』
「休み」
『いいなぁ…あ!今度どっか出かけようよ!』
「どっかて……ええけど」
悠長に朝ごはんをたべていたら遅刻するはずなのにゆったりと朝食を取っていたり、意外と抜けているところがあったりと。
幼馴染といっても全ての時間を同じ場所で暮らしていた訳では無い。
知らないことも多かった。彼女の身近な事はあまり知らなかった。
だが、今はどうなんやろうか。彼女の趣味、好きなもの、嫌いなもの。全て把握してしまっている。
決してストーカーなどではない。一緒に過ごしていると…やっぱり知ってしまう訳で。
自由奔放な彼女と共にすごしているうちになにやら恋心まで抱いてしまったようなのだから、知っていたっていいだろう。
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