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｢はぁ、はぁ…間に合った｣
｢人、多っ｣
いつにも増して人が多く、電車の中に押し込まれるようにして乗り込む。
｢……｣
鬱くんと私の距離は、ほぼ0に近い。心音が聞こえてるんじゃないか、と少し恥ずかしくなる。
｢姉ちゃん、顔赤くして、どうしたん？｣
｢はっ？｣
目の前には、にやにやとした表情の鬱くん。
｢…走って、暑くなったんやもん｣
｢そういうことにしといたるわ｣
先程とは違う、満足げな顔に少しいらっとする。
｢弟の癖に、 ｣
何その上から目線、そう言おうとすると、電車が大きく傾いた。
｢っきゃ、｣
バランスを崩して、倒れそうになったそのとき。
ドア側にいた鬱くんに手を引かれ、抱きしめられる形になった。
｢…弟やと思っとったらあかんで、｣
鬱くんの声が耳元で聞こえる。
……いやいや待って、ここ電車！
でも、張り合いたくなって背を伸ばした。
｢……こっちの台詞！｣
鬱くんのびっくりした顔が久しぶりに見れたから、満足かな！
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