色々なtn氏企画【w.r.w.r.d.!】 (ページ33)

今日:7 hit、昨日:8 hit、合計:47,618 hit

↓ ページ33

そんな最低な下心を抱きつつ、適当にくつろいでてくださいと告げてキッチンに立ち、鍋に火をかける。

ぐつぐつ、コトコト

ふわりふわり、部屋にカレーの匂いが広がっていく。

「…あの、ほんまに食べてってもええんですか？」

「いいですよ。1人じゃ食べきれないし、お隣さんちゃんとご飯食べてないでしょ？これ食べて元気だしてくださいね」

皿に丁寧に盛り付けてコトリ、彼の前に差し出す。自慢じゃないけど料理はできる方だ。美味しいとか言ってくれたらいいなぁ…なんて思ったり。

「じゃあ遠慮なく…いただきます」

大きめの一口が放り込まれるのをドキドキしながら見守る。どうかな、口に合うかな。辛さは丁度いいかな。

「どう、でしょうか…」

スプーンを持ったまま固まってしまったお隣さんにおずおずと尋ねる。…もしかして、口に合わなかった？

味を確かめるように、ひと粒ひと粒噛み締めるように、ひたすらもぐもぐと動く口をじっと見つめる。

うーん、美味しいから味わってくれてるのか、美味しくないからゆっくり食べてるのか…。

ごくり、飲み込む音に合わせて唾を飲み込む。開かれた口がほろりと言葉を紡ぐ。

「……うまい」

・

・

そこからはあっという間だった。

ガツガツ、なんて効果音でもつきそうな程にカレーに食らいつくお隣さんをぼーっと見ていたら、いつの間にかペロリと平らげてしまっていた。

よっぽどお腹が空いてたらしい。食事を終えたお隣さんは満足気に溜息を吐いてもう一度、うまかったと呟いた。

うまい、ただの一言なのにどうしようもなくその言葉が頭を支配して溶かして、じんわり胸が熱くなるような心地がした。

なんだろう、この感じ。めちゃくちゃに幸せなような。お隣さんのせい？

「ほんまに美味しかったです、ありがとうございました。その…家ではあんま自炊しないんでこういうの久しぶりで…」

夜遅くに帰るから自分でご飯を作る時間もないと、照れくさそうに教えてくれた。

え、こんなに美味しそうに食べるのに、いつもカップ麺とかコンビニ弁当なの？なんて勿体ない！！！

「お隣さん！」

「えっ、は、はい」

「これから毎日、私に晩御飯を作らせてくれませんか！」

「……えっ？」