色々なtn氏企画【w.r.w.r.d.!】 (ページ31)

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社畜とお隣さんページ31

【社畜に力を！】

「はぁ、今日もいなかったなぁ」

軽快なチャイムの音とは反対に物音1つしなかった。あれはやっぱり留守だ。

押し付けてもうここには戻ってこないはずだった手土産をテーブルに置き、勢い良くソファへとダイブする。

このマンションに引っ越してきて早3日。挨拶回りも3日目に突入した。まあそろそろその3日目も終わりそうなんだけど。

3日目といっても、1日1部屋回っているとかそういうのじゃない。むしろ初日に全部済ませたのだ。…お隣さん以外は。

行っても行っても全部留守なんだよね、お隣さん。いる時間が分からないから朝昼夜わけてみたけど全部留守！

え、ほんとに住んでるの？実は入れ違いで引っ越してったとかじゃなくて？って疑いたくなるレベルで会わない。会わないどころかいない。

だから正直、諦めてこのまま寝てしまいたい。そして明日の私に頑張ってもらいたい。

…しかし今日の私は絶対にこの手土産を渡さなければならない。なぜならこれ、消費期限が近いのである。普通にやばいのである。

カッ！と目を見開いて体を起こす。危ない、今寝るとこだった。寝たら今日渡せないでしょうが！！！

「どうにかして寝ずに待てる方法……あ、」

そうだ、外で待ってよう。そうすれば帰ってきた時にすぐ渡してすぐ帰れるし！

思い立ったら即行動、手土産片手にガチャリと玄関を抜けて外に出る。ひんやりとした空気が肌を突き抜けて、すぅっと眠気が引いていくのが分かった。

よし、これなら待てる。

「…と思ったんだけどなぁ！？」

無理無理無理！これ以上待てない！いくらなんでも遅すぎるよお隣さん！貴方が帰ってくる前に体が冷えきって死んじゃいます！

すぐ帰ってくるだろうと舐めて薄着で出てきた自分を殴り倒したい。寒い。

「もうっ、もう！！！なんでまだ帰ってこないの！？社畜なの！？ブラックなの！？残業なの！？！？早く帰ってきてよお隣さ、」

「すんませんね、こんな時間にしか帰って来れへんくて」

「……えっ」

えっ？

遮るようにして聞こえた、関西弁が特徴的な男の人の声。

え、え？ん？？？まさか、

慌てて振り返ると、20代半ばくらいの少しやつれた顔をした男の人が立っていた。

…見たことのない顔。
是非ともその整った顔ではよどけと言わんばかりに眉を吊り上げないでいただきたい。

「あのー、俺になんか用ですかね？そこ俺の部屋なんやけど」