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｢え、誰これ。｣
実写の動画撮影中にTwitterを開くと、少しずつ増えていくフォロワーの中に、一際フォロワー数の目立つ人がいてぴたりと手が止まる。内容を見るに有名な実況者である事は確実なのだが、如何せんジャンルが正反対すぎるので、逆に何故フォローされたのか全く分からなかった。
｢…あ、これめっちゃ有名な人やん。｣
丁度休憩中だった大先生がスマホを覗き込み、一言呟いた。どうやら大先生はその人の事をフォローしているようで、自分の端末を操作しながらほれ、とフォロー欄にいるその人を見せた。
｢ギスメモの関連に出てくるんやわ。暇な時に見たら面白くてついつい見ちゃうんよ。｣
｢女の人…よな、これ。｣
｢おん、そやで。｣
｢いやぁ、俺らのこと知ってくれてるんかなぁ。｣と何処か浮ついた表情で撮影に戻っていく大先生を横目に端末の電源を落とした。乙女ゲームとか全く興味無いけど、大先生がそこまで言うのなら面白い方なのだろう。俺をフォローしてくれた理由は一切分からないが、取り敢えず後で動画を見た後に丁重にフォローボタンを押すことにしよう、そう決めた。
後日、例の方の動画を見漁り、フォロバも返し、数日が経った頃。仕事で疲れた体に鞭を打ち、動画編集の休憩にTwitterを覗いている時の事だった。スクロールしていた手が思わずぴたりと止まる。
そこには何の変哲もない日常がその人それぞれの感性で描かれているだけ───な、はずだった。
｢…この絵柄、どっかで見た事が…あ、今日の子や。｣
Twitterには自分でステッチをしたハンカチをお披露目している写真が。その花柄は色鮮やかで、最早職人さんなのではと疑ってしまうくらい精巧に出来上がっている。
然し、トントンの感想そんな当たり障りのないものでは無い。既視感──いや、それ以上に見間違えるはずもない。今日の会議でたまたま水を零してしまった俺にスーツが濡れてしまわないようにとこの画像のハンカチを貸してくれたのは紛れも無い今商談中の相手方の女性社員の方なのだから。
そこからだったろうか、現実の俺と仮想での俺、現実と彼女と仮想での彼女。4つの役割がそれぞれの形で作用する奇妙なゲームに巻き込まれたのは。
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檸檬 - 好みです。トン氏の色々な一面が表現されていて良い作品ですね！これからも応援しています！ (2021年5月23日 10時) (
レス) id: 1448aeacc9 (このIDを非表示/違反報告)
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