色々なtn氏企画【w.r.w.r.d.!】 (ページ2)

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「目撃者はオスマン。昨日の夜に二人で呑んでいた時に襲われたとのことだが」
「あれは人狼や！」

鬼気迫る勢いでオスマンさんは口を挟んだ。

「あの時止めてれば、刀を持たせていたら！あんな獣に……畜生！」
「落ち着け。しばらく別室に居るか？」

ぎゅっと口元を結んだ彼は、普段の温和さなど欠片も見られない。動揺が広がる。自然と握った拳が震える。

「死因は失血死。喉に貫通した痕があった。牙で一発が妥当なとこか」
「村への橋は壊されとった。……しばらくは助け、来ないやろな」

ぽつりと足したシャオロンさんは、力なく俯いた。唯一の橋が無くなれば、森を抜けるしか助けを求める方法はない。しかしこの森は霧が深く、たまに来る商人も案内人をつけるほどだ。

「あぁコレット、リリアーヌ……」

嘆く鬱先生。元商人ということで馬車を持つ彼だが、馬は忽然と消えたという。きっと、奴に奪われたのだ。

「助けを待てばいずれ食料が尽きる。森に出れば襲われる確率は高い。正直お手上げだ」

グルッペンさんは目を閉じた。
悪夢のようだ。また私は、大事な人を喪うのか。私自身すら、仇の胃袋に収まるのか。
思考が塗り潰される。私には何もない。パンを焼くことしかできやしないのに、どうやって対抗できるだろう？

「弱気やなグルさん」
「何？」

視線がトントンさんに集まる。
至極当然そうに、彼は提案した。

「ワイ狩人、あれくらいの森は朝飯前や」
「しかし」
「さすがに一人はきついけど、あと何人か付いてくれれば一人くらい街に着くやろ」

二人の視線が真っ向からぶつかる。
やがて、グルッペンさんはため息をついた。

「貸しイチだぞ」
「けち」

にッと笑うトントンさんは、ひどく眩しく思えた。

「あ、じゃあ僕も行きますチッス」
「しゃあないなァ！」
「さては根回ししやがったなオイ」

すくっと立ち上がるゾムさんとコネシマさんに、とうとうグルッペンさんは苦笑した。

「他はここで待機だ。芋ってでも生きるぞ」

三人の出発は日の出と共にという話になった。少しでも明るく、人狼の強さが十全でない時間帯を狙って。

「こんなことしか、できませんが」

硬くなってしまったバゲットを配る。
三人は笑って受け取り、お屋敷を出て行った。

順調に進めば、昼過ぎには街に着くらしい。
窓から森を見下ろし、ロザリオの十字架を握りしめた。
あと、数時間の辛抱だ。