色々なtn氏企画【w.r.w.r.d.!】 (ページ1)

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狩人tnとパン屋夢主ページ1

【人でなしの最期】

祖父が殺されてから、二年が経った。
村の飛び地のパン屋は、今は私しかいない。

晴れた午後。
テーブルの上には、鍋、食器、酒瓶、その他諸々。大多数の人が顔を赤く上気させている。
今日は鬱先生のお家で、歓迎会が開かれたのだ。

「お姉さん食べてるー？」
「あ、ゾムさん」

ちょっと猫背のこの男性は鬱先生の知り合いで、こちらに引越してきた新しい仲間でもある。
初対面は口数の少ない印象だったけれど、お酒が回ったのか機嫌良く笑っている。

「私のパン、お口に合いましたか？」
「あのパン君のか！あと十個は余裕やで」

大層食べるゾムさんは人に食べさせるのもお好きらしく、目の前の皿にお肉が積み重なっていく。うぅ、多いな。

「おい待てゾム、Aちゃんに手ぇ出すな。代わりにトントンが引き受ける」
「お前ちゃうんかい！」

向かい側で真剣な顔をする鬱先生に、トントンさんが悲鳴を上げた。いくら大柄なトントンさんでも、さっきから皆さんの分を押し付けられているというのに。
悲鳴と笑い声が、混ざって青空に昇っていく。

「Aさんも一人なん？」

食べ切ったお皿を片付けていると、そっとゾムさんに声をかけられた。
近くに人がいないのを確認して頷く。

「私は祖父と暮らしていたんですが……人狼に襲われて。それからは一人です。他の皆さんも、事情までは分かりませんけど、一人で暮らされてます」
「そっか。ごめんな」
「いえ。気にしないで下さい」

たった二年。あの日の記憶は未だ色褪せない。
飛び散った血液、倒れる祖父の体、なによりこの世のものとは思えないほどの蒼い瞳……。
奥歯を噛みしめ、口角を引き上げた。

「皆さんがいればきっと大丈夫。もし来ても、今度は暖炉で焼いちゃいます！」
「ヒヒッ、頼もしいな」
「おうそこの主役、早よ戻って手伝え！」

あっという間に打ち解けたコネシマさんが怒声を飛ばす。けらけらとシャオロンさんが笑い、よく通る声でロボロさんが同調した。
私も戻って、ひとらんらんさんと鍋を洗いに井戸へ向かう。

「全く。うるさくなるね」
「えぇ、楽しみです」

素朴だけど楽しい日々。
ずっと続いていくものだと、勝手に信じていたのだ。

一ヶ月後。ある夜。
私たちは、グルッペンさんのお屋敷にいた。

「ひとらんらんが、殺された」

暗く重い、低い声。
しんとした大広間は、時が止まってしまったようだった。