♯ ページ12
「ん? どうしたアーーー! オマ、何やってんだよ!」
「湯切りに失敗しました」
「見りゃわかるわ!」
もったいねー……とシンクに流れ出たペヤングの麺を見つめている場地さんになんだか申し訳なくなってくる。ペヤングぐらいで大袈裟な、とも思わなくもないけど。
私の持っている容器はずいぶんと軽くなってしまった。中をチラリと除くと、半分くらいシンクに食べさせてしまったみたい。
落ちたものは仕方ないとして、ゴミ箱どこだろ。片付けないと。そう思ってキョロキョロ辺りを見回していると、頭の上から「おい」と声が降ってきた。あらま? 今度はちょっぴり不機嫌そう。ぱしぱしと目を瞬かせる私のペヤングにソースを勝手に入れる場地さんは何がしたいのかよくわからない。
「先に食うぞ」
「え? でも片付けが」
「バカか。今が一番うめぇんだから今食うんだよ。ほら混ぜろ」
「あ、はい」
口が動くよりも先に手が出てしまう、自分に素直な場地さんをちょっと羨ましいと思ったのは内緒の話。精神年齢が低そうだとかそんなことは思っていませんよ? ええ、断じて。
──私ももっと、自分に素直に生きてみようかな。名前も知らなかった第一印象最悪の店員さんが、私のちょっとした憧れの人になるのに大して時間はかからなかった。
ぐるぐる。麺がソースの色に侵食されていくのを見つめていると、すでに少なくなった私のペヤングの容器に、出来上がったペヤングが追加された。顔をあげると私の容器へ一所懸命ペヤングを移している場地さんが目に写る。そのままジーッを見つめていると、不意に視線が交わる。彼の片眉が不思議そうに吊り上がった。
「ンだよ」
「こっちの台詞ですよ。何してるんです?」
「そんだけじゃ足んねーだろ? 俺の少しやる」
「そしたら場地さん足らなくないですか?」
「俺のことは気にすんな」
「私少食ナノデ」
「はあ? ぐーぐー腹鳴らしてた奴が何言ってんだよ」
「場地さん、来世でまた会いましょう」
「殴ろうとすんな」
笑顔で握り拳を見せると、真顔の場地さんにたしなめられたので仕方なくスッ……と脚を上げる。するとこれまたすかさず「蹴ろうとすんな」とたしなめられました。仕方ないのでおとなしくペヤング食べようと思います。
536人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むつひら(プロフ) - かさごさん» 全裸待機ありがとうございます!遅くなりましたが帰ってきますー!待っていただけて嬉しいです😭✨ほんとにほんとにありがとうございます! (2022年1月13日 22時) (レス) id: 8695616f6d (このIDを非表示/違反報告)
かさご - 全裸で全力で待ってました!!!!ありがとうございます!!!!お帰りなさい!!!!(誰) 初コメ失礼いたしましたm(*_ _)m (2022年1月13日 17時) (レス) id: b2136fe961 (このIDを非表示/違反報告)
むつひら(プロフ) - 星海さん» 気遣っていただきありがとうございます😭✨完結に向けて少しずつですが更新していきます!大好きって言ってくださる星海さんが大好きです!ありがとうございます! (2021年12月29日 19時) (レス) id: 8695616f6d (このIDを非表示/違反報告)
星海 - 面白くて大好きです!ゆっくり、ゆっくり無理せずに投稿してくださいね!楽しみにしてます! (2021年12月29日 8時) (レス) id: d3e10c9f88 (このIDを非表示/違反報告)
むつひら(プロフ) - しろんさん» とても好きありがとうございます!必ず続きあげますので、お待ちください✊続きも面白いって思ってもらえるようにがんばります! (2021年12月27日 23時) (レス) id: 8695616f6d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:むつひら | 作成日時:2021年11月12日 16時