くもるこころ ページ8
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先輩に告白されてから、智は
その先輩によく絡まれるようになった。
昼ごはんはいつも3人で食べていたのに、嫌々先輩に呼ばれ、私は和と二人でご飯を食べる。
いつもと違う日常に違和感しかなくて、気持ち悪い。
智「...またかぁ」
『いっちゃうの？』
智「断ったほうがめんどくせーぇよ」
今日も先輩に名前を呼ばれ、面倒くさそうに椅子から立ち上がった。
和は何も言わず、無視したまま。我関せず。
俺カンケーないもん、という顔。
馴れ馴れしく名前を呼ばれて、私と同じように呼ぶ先輩のその声が好きになれなかった。
私は複雑な気持ちのまま、智の背中を見送るんだ。
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それでも学校の行き帰りは、智が先輩に呼ばれなければ一緒だったし
私たちの関係が変わらないといえば変わらなかった。
今日までは。
ま「また2人で帰るの？」
智「...せんぱい」
智が、先輩のことを「せんぱい」呼んでいることに少しほっとした。
ま「わたしは？ほっとくの？」
智「昨日帰ったじゃん」
ま「今日もその気分なんだけど」
智「....」
二人は向き合って、そのまま動かない。
智は私を一瞬見て、困ったように眉を下げた。
あぁ、そういうこと。
私はお邪魔みたい。
『わ、わたし、さきかえる』
智「え、ちょ、おい」
ま「だって。ほら、智も。かえろ？」
智「待って、離せって」
先輩は智の腕を掴んで自分の腕の中に抱きしめた。
あーそんなの見たくない。
なんだろうこの嫌悪感。
わかった、兄弟のラブシーン見てるみたいなのかもしれない。
私はなるべく2人の方を見ないように下を向いて小走りに
校門の方へと向かった。
『じゃね、気をつけて！』
智の呼ぶ声がする。
私は振り返らない。振り返れない。
見たくないから。
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作者名：いろは | 作成日時：2021年1月30日 23時
