さんわめっ！ ページ3
茂みを掻き分けながら進む。道という道はなく、口田くんの個性で鳥達に話しかけながら、敵を探す。
作戦の通りに、障子くんを先頭に、その次に口田くん、その後ろにわたしと常闇くんが並ぶ形で前後左右四方八方を確認しながら歩いた。
無口だけど頼りになる二人と、めっちゃ喋るわたしと、ダークシャドウもとい本体すらもイケメンな常闇くん……何この陣営、最高すぎ。
そして、一向に見つからない敵に安心するべきなのだろうが、そうもいかない。もし相澤先生の言う通り町人に化けているだけならいいが、この森に潜んでいるとなると、集落に被害が及ばないよう、こちらで食い止めなければならないが……。
少し大げさに腕を組んで考え込んでいると、口田くんの肩に止まっていた小鳥さん達がハタハタと飛び去って行った。……自身の耳が正常ならば、この小規模な爆発音は―――……かっちゃんの個性だろう。つまり、この集落の周りを半周したということになる。
先頭にいた障子くんが歩みを止めた。そして、紅白頭とトゲトゲが見える。嗚呼……やっぱり、
『かっちゃん、轟くん。そっちはどうだった？？』
轟「敵はいなかった」
『そっか……こっちもだよ』
轟「じゃあ、村に戻るか」
常「いや、もう一度見て回ろう。何か見落としがあるかもしれないしな。轟達は今俺達が見て回った方を頼む。俺達は先を見てくる」
轟「わかった……ほら行くぞ、爆豪」
爆「言われなくともわかってんだよ、クソが！あとっ、俺様に命令すんじゃねぇ！！」
手でbomb bombと小規模な爆発を起こしながらも轟くんと並んで歩くかっちゃんを見送って、少しの休息の後、こちらも歩き出そうとした――――――その時、
背後、つまりかっちゃんたちの方から物凄い爆風が吹いてきた。
ついさっき別れたばっかりなのに？……さっき、わたし達も見て回った場所なのに？
くるりと進行方向を変えて、何事かと見ようと顔を上げたその時、戦闘態勢――と、常闇くんの声が耳に入った。
すぐさま、体勢を整えて、個性発動のために目を見開く。敵を確認し、常闇くんとアイコンタクトを取って、目の前の景色を目に焼き付け、個性を発動させる。
心の中でゆっくり３秒数えて、目を開ければ視界に広がる景色は、白と黒の二色だけ。
常闇くんのダークシャドウが影に移って、自身も黒い部分に身を潜める。
丁度、同じ色の所に隠れていた口田くんと合流し、彼にはサングラスを手渡し、木陰に隠れてもらった。
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