＊07＊様子がおかしい理由 ページ8
「光、帰ろうぜー」
「うん」
メインの役が発表された後、裏方や他の役も決めたので、外は真っ暗だ。
でも、役決めでキャーキャー言った後なのでみんなのテンションは高く、教室は明るい雰囲気ですごく騒がしい。
もう既に一回先生がうるさいと怒りに来た。次に来るときは多分ガチギレだから早く帰んないと。
……と思いつつ、俺はついつい教室で話すクラスの奴らにつられて、帰る支度をする光に話を振ってしまう。
「なんかびっくりだよなぁ」
「んー」
「メインが俺らとかどうかしてるよな」
「んー……」
「光？」
なんか光、めっちゃテンション低くね。というか、もはや話を聞いてない気がする……
「光、どうした？」
「……べっつにー……」
本当どうしたこいつ……上の空って感じだし、さっきから目すら合わせないじゃん……
……あ、もしかして、
「相手俺だからテンション低いの？」
「な、違うよ！！」
何気に聞いただけなのに、光が思ったより大きな声で否定したので若干びっくりする。
こいつこんな声でんの……？
「……ご、ごめん……でも……ちょっと……」
「……ちょっと？」
光はいつも通りの声の大きさで謝った後、何か言いかけてから、俯いて口をつぐんだ。
俺がどうしたのかと顔を覗き込むと、光はハッとしたように急に顔を上げた。
頬に若干の赤みがさしている気がした。
……
……いやなんで？今日そんな暑くないよなぁ……実は演劇をやるのが嬉しくて興奮してるとか……？
でも光そういうの好きなタイプじゃないはず……さっきも女子にキャーキャー言われて複雑そうな顔を……
俺が思考を巡らせていると……
「あ、俺、ちょっと用事思い出した」
「えっ、え？！」
「か、帰るね」
「え？！」
光は吐き出すように言って、走って教室を出て行った。あまりの勢いに開いた口が塞がらない。あいつどうした？俺なんかしたっけ？
うーーん……？
……演劇で王子になってしまった以外の出来事が思いつかない……
＊08＊キスシーン問題について→←＊06＊モテるためなら頑張れる
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：彩鳥ねお | 作成日時：2020年3月18日 14時
