Episode9. ページ10
「……教えてよ、ねぇ。」
……2時間くらい前、私はりうらにそう言っていた。
ハッと我に返ったような表情をしたりうら。
小さな声で「ごめん」と謝っていた。
……りうらが謝る必要なんてないのに。
その後すぐにお見舞いの時間が終わってしまい、りうらはそのまま家に帰っていった。
両親は一通り入院やら手術やらの説明を聞いた後、一旦帰るねと言って戻った。
多分、両親なりの気遣いだったんだろう。
そして今、私は夕食を済ませてベッドに腰かけている。
長期入院に切り替わったところで、部屋も変わるらしい。
2人部屋らしく、もう1人は高校3年生の男の人と言われた。
最初はなんで男女が同じ部屋なのか疑問だったけど、すぐにそれは解けた。
……どうやら、そのもう1人の人も似たような病気らしい。
その人は治る病気なのかもしれないけど、担当の先生も同じだからという理由で同じ部屋になった。
何度も看護師さんと両親に「一緒でいいの?」と心配されたけれど、私は「大丈夫」と答えた。
入院中は思っているよりも暇だから、誰か話し相手が欲しかったのが1つ。
……あとは、似たような病気なら何か話が合うかもと思ったから。
危機感が足りないだとか無防備だとか言われるかもしれないけど、さすがに病人を襲うなんてことは無いと思っている。
……ナースコールで看護師さん呼べばいいわけだし。
と、そんなことを考えながら私物を軽くまとめていると、ドアがノックされた。
「失礼します。」
男の人の声が聞こえたかと思うと、ドアが開いて青い髪の毛の人が入ってきた。
「初めまして、君がAちゃん?」
「あっ……はい。えっと……担当医の先生、ですよね?」
「はい。青園いふです。今日からAちゃんの担当医になりました。よろしくね。」
ニコッと笑って言った青園先生。
「花散Aです。よろしくお願いします。」
「よろしく〜、タメで大丈夫だからね。どっちでもいいけど。」
……いつかはタメにしよう。
「じゃあいつかはそうします……」
「うん。じゃ、早速伝えたいことがあるから、移動してもいい?」
伝えたいこと……か。
検査結果とか、症状の話とかかな。
「……ここでもいいですか?」
私が言うと、少し驚いたような表情をした先生。
「いいけど……もう1人の子、そろそろ来るよ?」
「大丈夫です。どっちにしろ、その子にも伝えようと思ったので。」
「……そっか。じゃあここで話そうかな。」
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れん(プロフ) - 更新ありがとうございます! (8月28日 18時) (レス) @page22 id: f4dea89aed (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - Cometさん» 楽しみに待ってます (8月18日 10時) (レス) id: f4dea89aed (このIDを非表示/違反報告)
Comet(プロフ) - れんさん» コメントありがとうございます✨もう少ししたら更新できると思うので楽しみに待っていただけると幸いです……!応援ありがとうございます! (8月17日 23時) (レス) @page21 id: b9234993da (このIDを非表示/違反報告)
れん(プロフ) - 面白かったです次の話が楽しみです!更新頑張ってください (8月17日 18時) (レス) @page21 id: f4dea89aed (このIDを非表示/違反報告)
Comet(プロフ) - 想羽〜souha〜さん» ありがとうございます……!更新停止気味ですが頑張りますね!! (7月2日 20時) (レス) id: b9234993da (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Comet | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/irisuidei13/
作成日時:2023年4月17日 19時