18：現状維持で妥協する ページ19
私たちの組は現在3位。まだ始まったばかりとはいえ、悪くはない順位だ。
宇津井くんときむと私の三人で、二人三脚の待機場所に向かっていると、正面からシッマが歩いてきた。
「あ、シッマ。シッマもそろそろ行かんと」
「あぁ、せやな！うん。」
「考え事？」
「あー、まぁ、うん。そうだねぇ……。A」
シッマが私の目を見て、すっと真顔になる。
「思い付いた？」
思い付いた、というのは。
テストの結果の願い事のことだとすぐにわかった。
「……まだ」
「そうか」
私の、本当にしてほしいこと。シッマにしてほしいこと。
「うん、まだ」
思い付かない、というよりは。
言えないのかもしれない。
シッマが好きだった。シッマの後を追っていたあの頃から、多分今も。
シッマにしてほしいこと。
あの頃からなにも変わらないって知っても、嫌いにならないでほしい。
一緒に居てほしい。
そんなこと言ったって、仕方ない。
今で満足してるから、
「何も思い付かないな」
「しゃーないな」
二人三脚がはじまる。
鹿川くんが隣にやって来た。横目でシッマを見れば、目があった。
「頑張ろ」
「せやな」
私に返事をしたのは鹿川くんだった。シッマもペアの女子と話をしている。
シッマ、私と話すよりも楽しいだろうな。
そんな風に思う私は劣等感の塊だ。なのになにもできない、ただただそう思うだけ、変わらないまま。
「Aと組めてよかった、話しやすいし」
「ほんま？なら私もよかったわ」
その言葉を、本当はシッマから聞きたかった。
応援席では、一華たちが私たちに手を振ったり、応援メッセージを叫んだりしている。
「Aー！頑張ってー！」
「鹿川ぁ！A置いて馬鹿みたいに走るんじゃないわよー！」
「んなことしねぇわ！」
こんな私なのに、
シッマや伊織や一華。友達に恵まれているのは、なにより有難いことだ。
どこにいても、いなくても同じような私が、こんな友人たちに囲まれていることがすでに奇跡だ。
同調しかできない、こんな私が。
これ以上を望むなんておこがましい。
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茜(プロフ) - 神作でした…終わり方がとっても好きです…なんでこんなにhit数少ないのか疑問です、もっと多くの人に読んで欲しい！と思いました (2019年11月14日 23時) (
レス) id: d2182e9bad (このIDを非表示/違反報告)
zut（ジット）(プロフ) - 自分は意思があるけど言えないわけじゃなくて、意思が弱いというか何も考えていないというか…私もknさんみたいな人に振り回されたいなぁって思わされるお話でした！楽しく読まさせてもらいました。ありがとう！！違う作品の更新も頑張って！！ (2019年8月1日 12時) (レス) id: a768d99ede (このIDを非表示/違反報告)
zut（ジット）(プロフ) - 完結！！お疲れさまでした！最後の方では、自分の意思をしっかりと伝える所にすごい感動しました。これからもknさんに楽しく振り回されていくんだろうなぁ。 (2019年8月1日 12時) (レス) id: a768d99ede (このIDを非表示/違反報告)
ものくろ*(プロフ) - 完結おめでとうございます！この作品は特にせなちゃんに共感出来る所が多く、コネシマさんがカッコよかったので更新されたら毎度ガッツポーズかましてたような記憶があります笑 残り二人の小説も終わりまで拝読させてもらいます！素敵な作品を有り難うございました！ (2019年7月31日 22時) (レス) id: addff992e8 (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - 桜藍さん» コメントありがとうございます！3つ同時は結構無謀だったかなと思っているところです笑 本来の性格ってなかなか変われないですよね……(*´-`) ありがとうございます、頑張ります！ (2019年7月6日 18時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
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