16：自覚したって同じこと ページ17
「A、二人三脚組まへん？」
「ん？いいよ」
唐突に鹿川くんに言われて頷いた。そういえば男女ペアだったっけ。他に誰がいるのかも知らない。わりと話す鹿川くんと組めるのなら有り難い。
「男女ペアってところかやりにくいよな」
「たしかにそうやな、声かけてくれてありがとう」
「迷惑やないならよかったわ。一回練習しとく？」
「そのほうがええかも」
トントン拍子で話が進む。
「あ、宇津井。ペア決まった？」
「あぁ、まぁ、決まったで。まだ決まってないのはシッマやろ」
「え」
シッマも二人三脚だったの、知らなかった。
「もしかして鹿川、Aさん捕まえてしもた？」
「おん、捕まえたで、な？」
「捕まった〜」
「マジか、じゃあシッマはもう一人の女子とやな」
二人三脚はうちのクラスから三組。宇津井くんペアと私たちのペアが決まってるから、必然的にシッマも相手が決まったことになる。
「じゃあ、練習する日はまた連絡するでええ？」
「せやな、空いてる日送るわ」
鹿川くんに手を振る。後ろから宇津井くんが話しかけてきた。
「ええの？」
「なにが？」
「シッマとやなくて」
シッマは、二人三脚は選ばないと思ってた。
いや、わかっていたとしても、鹿川くんに誘われていたら断っていなかっただろう。
「ええよ」
どっちでも。流されるがままに。
それが私だ。いつでもそうだ。
「ふぅん……シッマもようやるな」
「え、それって、」
どういう…？
「多分シッマ、Aさんが二人三脚に決まっとったから、合わせたんやと思うけど」
「まさか」
そんなわけ。
私は、一華のような行動力も、伊織のような素直さもなくて。何一つ、個性なんてなくて。
「シッマは私のこと好きでも嫌いでもないと思うから」
たまたま近くにいただけの私だ。
「じゃあ、Aさんはどうなん？」
「私？」
「シッマのこと、好きでも嫌いでもないん？」
私は、シッマのこと。
「口出しし過ぎてしもたな」
「ううん」
私にとって、シッマは。
昔、シッマは私の憧れで、好きな人だった。
じゃあ、今は？
シッマと再開して、互いに認識して、それで？
私は、シッマとどうなりたいのか。
私は、まだシッマのことが好きなのか。
シッマが伊織と近づくのが嫌で。
でも、私なんかじゃシッマとは釣り合わないと、無意識に諦めていた。
「シッマが、すき」
今でもまだ、すき。
…そう思ったところで、行動に移せるはずがないけど。
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茜(プロフ) - 神作でした…終わり方がとっても好きです…なんでこんなにhit数少ないのか疑問です、もっと多くの人に読んで欲しい！と思いました (2019年11月14日 23時) (
レス) id: d2182e9bad (このIDを非表示/違反報告)
zut（ジット）(プロフ) - 自分は意思があるけど言えないわけじゃなくて、意思が弱いというか何も考えていないというか…私もknさんみたいな人に振り回されたいなぁって思わされるお話でした！楽しく読まさせてもらいました。ありがとう！！違う作品の更新も頑張って！！ (2019年8月1日 12時) (レス) id: a768d99ede (このIDを非表示/違反報告)
zut（ジット）(プロフ) - 完結！！お疲れさまでした！最後の方では、自分の意思をしっかりと伝える所にすごい感動しました。これからもknさんに楽しく振り回されていくんだろうなぁ。 (2019年8月1日 12時) (レス) id: a768d99ede (このIDを非表示/違反報告)
ものくろ*(プロフ) - 完結おめでとうございます！この作品は特にせなちゃんに共感出来る所が多く、コネシマさんがカッコよかったので更新されたら毎度ガッツポーズかましてたような記憶があります笑 残り二人の小説も終わりまで拝読させてもらいます！素敵な作品を有り難うございました！ (2019年7月31日 22時) (レス) id: addff992e8 (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - 桜藍さん» コメントありがとうございます！3つ同時は結構無謀だったかなと思っているところです笑 本来の性格ってなかなか変われないですよね……(*´-`) ありがとうございます、頑張ります！ (2019年7月6日 18時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
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