11：想像して勝手に傷ついて ページ12
「Aー！」
シッマと話していた伊織に、大声で名前を呼ばれた。何事だろう、と近付く。
伊織としては天田くんと話したいのかもしれないのに、シッマに捕まっている状況。私に助けを求めてきたのかもしれない。
「どうしたの伊織」
「シッマくんを止めて！」
「どういうこと！」
すがり付いてくる伊織に聞く。思っていたより切実さが半端じゃない。シッマ伊織に何したの…？
「いやA、大先生が電話出ぇへんねや。でもな！でもやで、こいつが電話したら出るかもしれへんやろ！俺は大先生が彼女をとるか電話をとるか、これを確かめたい！」
シッマがそう熱く語る。なるほど、要するに宇津井くんで遊びたいと。シッマらしい。
「Aもおもろいと思うやろ？」
「そうかも」
「えっ！？」
伊織がかなり驚いているけれど、つい同意してしまった。シッマに同意を求められると反射的に応えてしまう。
「いってみよう伊織」
「Aそういうとこあるよね！」
困惑しつつもコールする伊織。それをシッマは楽しそうに見ている。
伊織への興味は宇津井くんとの関係にあるみたいだ。
良かった、と思った。
伊織本人に興味を持った訳じゃなくて良かった、と。
だめだ、とっくに捨てたと思っていたのに。
最近シッマと話して、昔みたいに名前を呼んでくれて。だから昔みたいに、眩しいシッマについていきたくなる。
シッマのことが好きだった。
きっと今だって、シッマは私の憧れで。
電話は繋がらなかった。
残念そうなシッマは、まだ伊織に絡んでいる。
シッマも、恋愛とかするんだろうか。
想像できないけど、シッマの好きな子はきっと。
シッマの興味を惹くような…面白くて、可愛い子。
私は今こうやって、またシッマと話せて、仲良くできることを喜ぶべきだ。
最終スコアが出る。志谷くんが１位で、時点が緑川くんだったらしい。私は真ん中辺り。何事も平均。
「全然あかんかったわ」
最下位はまさかのシッマで、なかなかコツを掴めてなかったらしい。最後の方はなんなら飽きていたと思う。
「このあとどうする？シッマの奢りでご飯行く？」
「なんで俺やねん！」
「最下位やん」
「お前っ、8人は無理やろ！今日は解散や！」
シッマがそう言うので、解散の流れになった。
「A、帰るで」
同じ方面だから。
シッマは昔と同じように、私に声を掛ける。
「うん」
振り返ることなく先を行くシッマの背中を追った。
12：行動の理由は大抵が君だった→←10：息をするように息を潜めて
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茜(プロフ) - 神作でした…終わり方がとっても好きです…なんでこんなにhit数少ないのか疑問です、もっと多くの人に読んで欲しい！と思いました (2019年11月14日 23時) (
レス) id: d2182e9bad (このIDを非表示/違反報告)
zut（ジット）(プロフ) - 自分は意思があるけど言えないわけじゃなくて、意思が弱いというか何も考えていないというか…私もknさんみたいな人に振り回されたいなぁって思わされるお話でした！楽しく読まさせてもらいました。ありがとう！！違う作品の更新も頑張って！！ (2019年8月1日 12時) (レス) id: a768d99ede (このIDを非表示/違反報告)
zut（ジット）(プロフ) - 完結！！お疲れさまでした！最後の方では、自分の意思をしっかりと伝える所にすごい感動しました。これからもknさんに楽しく振り回されていくんだろうなぁ。 (2019年8月1日 12時) (レス) id: a768d99ede (このIDを非表示/違反報告)
ものくろ*(プロフ) - 完結おめでとうございます！この作品は特にせなちゃんに共感出来る所が多く、コネシマさんがカッコよかったので更新されたら毎度ガッツポーズかましてたような記憶があります笑 残り二人の小説も終わりまで拝読させてもらいます！素敵な作品を有り難うございました！ (2019年7月31日 22時) (レス) id: addff992e8 (このIDを非表示/違反報告)
千白は山に住む(プロフ) - 桜藍さん» コメントありがとうございます！3つ同時は結構無謀だったかなと思っているところです笑 本来の性格ってなかなか変われないですよね……(*´-`) ありがとうございます、頑張ります！ (2019年7月6日 18時) (レス) id: f80b5e4d2a (このIDを非表示/違反報告)
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