233 Lupine warning ページ34
「…ええ、わかりました。
ノヴァ、少し席を外します。」
Aはそういってゆっくりとコーンパートメントを閉めた。
乗務員に見えたが手にきっちりと手袋をしていることから、ひょっとしたら乗務員ではなく車掌かもしれないと考えを巡らせるA。
男はどんどんと歩き続け、ついには貨物車の向こう側に来たというところで、それで、とAは言葉を発した。
「一体どんなご用件なんです。
ルーピン先生。」
Aの言葉に答えるように、男はニヤリと笑った。
車掌の帽子からちょんと見えてい黒髪は、白髪混じりの茶髪に生え変わる。
ガタイのいい背中は少し丸まり、背丈はそんなに変わらなかった。
くるりと振り返ったその人は、昨年この学校で闇の魔術に対する防衛術で教鞭をとっていたその人、リーマス・ルーピンだった。
「流石だね、声だけで見抜かれてしまうとは、君の慧眼にはいつも敬服していたよ。」
「上手いことをおっしゃったつもりですか？
気をつけてください、ここでは皆あなたを警戒しています。」
「…君は警戒しないのかい？」
「いいえ、全く。
質の良い授業をしてくださるのなら、人面人間でも、人狼でも世紀の大悪党でも…なんなら半巨人でも構いませんから。
馬鹿だけは絶対にお断りです。」
「はは。強い女性だ君は。」
呆れと敬意を交えてルーピンは乾いた笑い声を出す。
あれから彼がどう過ごしているのか知らないが、昨年よりも少し痩せていることから苦労していることだけは手に取るようわかった。
「どうされてたんですか。こんなところで、ポリジュース薬までわざわざ飲む理由はなんです？」
「ああそれなんだけど君に話があってきたんだ。
君は自分がブラック家の一人であることを知っているね。」
「ええ…勿論です。」
「それで君の一つ家でもあるあのブラック家を使うことにどうしても了承が欲しくてね。
シリウスにはもう確認はとったんだけど、僕はブラック家の一員である君にも確認を取る必要があると思ってね。
できれば何も聞かずに、うんと言ってくれると嬉しい。」
「はあ、何も聞かずに勝手に了承をすると本気で思われていますか？」
「…ん〜〜まあそうなるよね…」
困ったように頭を抱えたルーピンを横目に、Aは少しだけ思考を巡らせた。
「…これは憶測ですが…」
といきなり語り始めたAに、ルーピンは何を言い出すのだろうかと軽く身構えた。
顎に手を当て、空色の目を細めた彼女は淡々と言葉を紡ぐ。
234→←232 Inside the compartment
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ふふ、ありがとうございます。まだ成長しきれない感じが伝わるように書きました。これからどう変わって行くのか、どうか見守っていただけると助かります。 (2019年9月12日 8時) (
レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 本日、引き続き読ませて頂きました。鷹の寮生らしく孤高で他人に頼らずに主体で好み。鷹の石像と会話をする場面も。 (2019年9月12日 7時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» そうですね、一歩一歩着実に。でも自分の領域は自分なりに守る。そんな考えを残しつつ、主人公が自分のプライドと並行して、何をどう変えて行くのかを伝えられたらと思っていまsy、ありがとうございます。 (2019年9月6日 3時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - まだまだ読み続けているベルモットです。この夢小説は説明文や状況説明など細かく書かれていて、ハリーポッターの世界観が滲み出ていました。鷹の寮生らしく夢主は健気ですね。 (2019年9月5日 23時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - crossmarian4272さん» ありがとうございます！更新頻度が少なく申し訳ないのですが、これからも楽しみしていてください。宜しくお願いします。 (2019年8月9日 21時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ｉｒａｉｚａ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年7月29日 22時
