232 Inside the compartment ページ33
ホグワーツから帰省する頃、Aは同じコンパートメントにいる兄弟にちらりと視線を移した。
黒髪に黒目の彼は、あれから久しぶりに顔を合わせた。
マッド・アイ・ムーディの事件はホグワーツ中を震撼とさせた。
彼の正体は何とあの脱獄していたパーテミウス・クラウチ・ジュニアだったのだ。
ハリーと対面したあの時点で既に事件は終わった後で、あとはローズから風の噂程度に聞いたのだが、彼はあのめちゃくちゃに苦いポリジュース薬を服用し続けたらしい。
「(あれの効果って、一時間で消えるのに、ずっと飲んでたのかしら…)」
さぞかし神経を研ぎ澄ませる一年間に違いないと、ものすごく他人事に考えていると、Aと小声で呼ぶ声が響いた。
「どうしたの？兄さん。」
Aは当然のように振り返った。
空色の瞳に鳶色の髪の彼女は、振り返るだけで絵になる程少しずつ大人らしい魅力を持ち始めた。
ノヴァは黙ってそれを見つめ続け、実はと相談を持ちかけた。
「俺、もうダームストラングをやめようかと思っている。」
「…どうして急に…」
「だって、これまでのことを考えたらもうあそこにはいられない。
イゴール・カルカロフも信用に値するか今は怪しいからな。」
「そんな簡単に関係が切れるものなの？」
「なんだ？やけに突っかかってくるな…」
「だって、」
「そばにいない方が良いか？」
寂しそうに眉をひそめて尋ねるノヴァに、Aはなんと答えて良いのか迷った。
たしかに見つけるこのできた片割れだ、ミーシャにも戯言のような言い方ではあったが片割れを見つけることを約束していたのだ。
だったら、嬉しいはずなのに。
「やっぱりあの、新聞の事件が気になるのよ。」
ぽつりとAは言葉をこぼした。
「あれは、君のボーイフレンドが書いたものだろう。」
「…」
「どうした？どうして急に黙るんだ。」
可笑しそうに首をかしげるノヴァに、Aは何か既視感を覚えた。
「ねえ、聞こうと思ってたんだけど。」
と言いかけたところで、こんこんとノックが鳴った。
コンパートメントの外では何やら長身の男がいるが、すりガラス越しゆえに見えづらい。
はいといってAが立ち上がると、ガラリと開いたコンパートメントの向こう側には、畏まった様子の乗務員がいた。
「失礼ですが、A・マーベルさんで間違いありませんね。」
「ええ、そうですが。」
「少々お時間よろしいでしょうか。」
作ったようなその声には何か聞き覚えがあった。
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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ふふ、ありがとうございます。まだ成長しきれない感じが伝わるように書きました。これからどう変わって行くのか、どうか見守っていただけると助かります。 (2019年9月12日 8時) (
レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 本日、引き続き読ませて頂きました。鷹の寮生らしく孤高で他人に頼らずに主体で好み。鷹の石像と会話をする場面も。 (2019年9月12日 7時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» そうですね、一歩一歩着実に。でも自分の領域は自分なりに守る。そんな考えを残しつつ、主人公が自分のプライドと並行して、何をどう変えて行くのかを伝えられたらと思っていまsy、ありがとうございます。 (2019年9月6日 3時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - まだまだ読み続けているベルモットです。この夢小説は説明文や状況説明など細かく書かれていて、ハリーポッターの世界観が滲み出ていました。鷹の寮生らしく夢主は健気ですね。 (2019年9月5日 23時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - crossmarian4272さん» ありがとうございます！更新頻度が少なく申し訳ないのですが、これからも楽しみしていてください。宜しくお願いします。 (2019年8月9日 21時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ｉｒａｉｚａ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年7月29日 22時
