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容易に想像できてしまうその姿に、Aはふと笑みをこぼしてしまった。
「君のお爺さんは、君をすごく心配していた。
君が道を外さないかどうか、それをものすごく。」
「道を外す？それはどういう…」
「わからない、でも君にこれを託すと言っていた。」
カンカンカンと登っていた階段が終わり、目の前には四年間見慣れた鷲の石像が見下ろしている場所にたどり着いた。
胸の内ポケットからそっとハンカチで包まれたそれを取り出す。
大きな掌の上に広げられた白いハンカチからあらわれたそれは古い鍵だった。
ずっと大切にとっておいてであろうそれをドラコはそっとAの手のひらに返す。
昔からこういう礼儀はしっかりとしていたなと感心するAに、ドラコは黙って続ける。
「…チェーン、つけようか？」
ふわりとドラコがAの手を覆う。
ひんやりとした銀の感触が指の間を伝って、そして、
シャランと音を立てて魔法で作られた銀のチェーンが落ちた。
鍵はすごく古いのに、チェーンだけがやけに真新しくて、Aはその不釣り合いさにフッと笑ってしまった。
「…ありがとう。」
ようやく返せたその言葉に、ドラコは少し灰色の目を見開いた。
いろいろなことがありすぎて、きっと頭がパンクしているのだ。
Aは自分に言い聞かせた。
チェーンを首にかけようとすると、覆われていた手がそっと手の中から鍵を奪う。
「僕がつける…後ろを向いてくれないか？」
震えたその言葉に、Aが顔を上げるとドラコの眦には涙が浮かんでいた。
かろうじて溢れていないから涙と呼ぶのは早計かもしれないが、Aは黙って頷いてそのままくるりと後ろを向いた。
ただのチェーンをつけるだけだ。
何も緊張することはないはずなのに、まるでこの鍵はあらかじめドラコの手を借りて、Aの元にくるのがわかっていたかのようにしっくりとくる重さだった。
ただの鍵にしては重すぎるそれ。
チャリンと音を立てて垂れ下がったそれは、Aの鳶色の髪に混じってかろうじて溢れてきた夕日の光を浴びて輝いた。
だがすぐに曇天に包まれた景色に、Aは空色の瞳を曇らせたまま顔を上げた。
「…つけ終わった。」
終わりの合図を聞いて、Aはゆっくりと振り返る。
眦にまだ涙は溜まったままだ。
「(嗚呼…なんて綺麗なのかしらね。)」
慰めて欲しいという甘えを、Aは初めて感じた。
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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ふふ、ありがとうございます。まだ成長しきれない感じが伝わるように書きました。これからどう変わって行くのか、どうか見守っていただけると助かります。 (2019年9月12日 8時) (
レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 本日、引き続き読ませて頂きました。鷹の寮生らしく孤高で他人に頼らずに主体で好み。鷹の石像と会話をする場面も。 (2019年9月12日 7時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» そうですね、一歩一歩着実に。でも自分の領域は自分なりに守る。そんな考えを残しつつ、主人公が自分のプライドと並行して、何をどう変えて行くのかを伝えられたらと思っていまsy、ありがとうございます。 (2019年9月6日 3時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - まだまだ読み続けているベルモットです。この夢小説は説明文や状況説明など細かく書かれていて、ハリーポッターの世界観が滲み出ていました。鷹の寮生らしく夢主は健気ですね。 (2019年9月5日 23時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - crossmarian4272さん» ありがとうございます！更新頻度が少なく申し訳ないのですが、これからも楽しみしていてください。宜しくお願いします。 (2019年8月9日 21時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ｉｒａｉｚａ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年7月29日 22時
