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扉の手前には二階に続く階段が一つ。
Aは迷ったが突き当たりの扉を目指すことにした。
扉を開けた先には、書斎があった。
ギルバートが出入りしていたらしい書斎。
自分の写真なんてものはなくて、ただそこにあるのは腰の曲がったギルバートに合わせた高さに揃えられている積み上がった本たち。
実験にも精を入れていたらしいギルバートは、書斎の本棚だけでなく、様々な薬草や薬品を管理していた。
「(そういえば二年生の時にときたときは、ヴァンパイアについて調べてるって言ってたわね…)」
どこに行っても亡き祖父の面影が残るこの場所が、Aは窮屈に感じられた。
「あら…」
思わず言葉にして出したのは、書斎の机の上に散乱された本の中で特に古ぼけた様子の本を見つけたからだ。
思わず手に取ると、挟んでいたらしい栞か何かが落ちた。
「…番号？」
7桁の番号が揃えられたその紙は神経質そうな字で書かれているそれ。
明らかにギルバートのものらしいその字を見た瞬間、Aはハッと目を見開いた。
首元の鍵を出してその古びた鍵をよく見ると、うっすらとだが同じ7桁の番号が刻まれていた。
「お、じいさま…」
祖父の家の鍵でもあったそれは、グリンゴッツの鍵でもあったのだ。
普段から他人に神経を割くことを何よりも嫌がる人がなんてことだと、Aはそう思いながら鍵を胸元に隠し、紙をポケットにしまう。
そして最後に古ぼけた本のページをゆっくりとめくった。
それは、祖父の日記だった。
日々学者としてどんな発見をしていたのか、真面目に書いていた祖父の日記は堅苦しくも祖父の心情がそのままに映し出されていた。
気に入らない文献の調査。
人付き合いの難しさと、自分の偏屈さを呪う言葉。
楽しくもないパーティーを催さなければならないこと。
そして文章の中からこの場所が祖父の隠れ別荘であることがわかった時には本当に驚いた。
なぜならパーティーに誘われたときは、暖炉から出入りしたために外見を知らなかったA。
いくつも別荘を持っていたギルバートは自分の家を自分の息子に譲り、パーティー用と自宅用と別荘を二つに分けて生活していたのだとか。
それは確かに話し相手も、整理整頓の手伝いをする相手も欲しいわけだ。
知ることのなかった祖父の姿を改めて知りながら、Aはページをめくっていく。
祖父の話はだんだんとAのことになっていった。
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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ふふ、ありがとうございます。まだ成長しきれない感じが伝わるように書きました。これからどう変わって行くのか、どうか見守っていただけると助かります。 (2019年9月12日 8時) (
レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 本日、引き続き読ませて頂きました。鷹の寮生らしく孤高で他人に頼らずに主体で好み。鷹の石像と会話をする場面も。 (2019年9月12日 7時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» そうですね、一歩一歩着実に。でも自分の領域は自分なりに守る。そんな考えを残しつつ、主人公が自分のプライドと並行して、何をどう変えて行くのかを伝えられたらと思っていまsy、ありがとうございます。 (2019年9月6日 3時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - まだまだ読み続けているベルモットです。この夢小説は説明文や状況説明など細かく書かれていて、ハリーポッターの世界観が滲み出ていました。鷹の寮生らしく夢主は健気ですね。 (2019年9月5日 23時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - crossmarian4272さん» ありがとうございます！更新頻度が少なく申し訳ないのですが、これからも楽しみしていてください。宜しくお願いします。 (2019年8月9日 21時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ｉｒａｉｚａ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年7月29日 22時
