237 Those who are left ページ38
Aがマグルの駅に着いたとき、プラットホームに立っている人物にひどく驚いた。
「…グレイ。」
久しぶりに見たその姿に、Aは思わず崩れ落ちたくなった。
どうしてか、先ほどの不安が一気に抜け落ちた気分なのだ。
Aはグレイのもとに歩み寄り、グレイ、ともう一度呼びかけた。
うつむきかけた表情を上にあげた彼は、目に涙をためていた。
「お嬢様…」
「どうしたの。そんな顔をして。」
「うう、ギルバート様が…」
その言葉で、Aはまたあのときの気持ちを思い出してしまった。
思い出したくなかった、できれば今ここでは。
Aはまた熱くなりつつある鼻を抑えるように、ぐっと気持ちをこらえた。
「まさか、この鍵を使って行けなんて言わないわよね。」
Aはドラコから受け取った鍵をシャランと首元から出した。
Aの声はもう鼻声に変わっていた。
手の中で握っている古い鍵はAの手の熱さに反して、冷たかった。
グレイの絶望とひどく傷ついた表情で、これから先の展開が見えたA。
これほどまでに帰省を憎んだ瞬間があっただろうか。
家に帰りたくないとこれほどまでに強く願った瞬間があっただろうか、
「(やっぱり、まだ、弱い…)」
Aは気持ち悪さを胸に感じながら、そうなのね？と確認をとった。
グレイは身なりの良い格好のまま涙を拭うこともせずに、頷いた。
「お願い、そこまで案内してちょうだい。」
差し出された手のひらとAの顔を見比べるグレイ。
おそらくAの手の中にある鍵は、Aが望む場所に連れて行ってくれるのだろう。
ポートキーになっていることは、Aだってわかっている。
それでもグレイが、Aの行く場所を指し示してくれなければAは動きたくなかった。
グレイが、何もかも承知しているという証がほしい、Aの身勝手な頼みだった。
グレイは観念したように一つ頷き、そしてAの手を取った。
たどり着いた屋敷は荒れ放題だった。
まるで人が出入りした形跡がない。
Aはそっと踏み込んだ。
すると足音に呼応するように草花が自然とAを避けて行った。
どこにでもあるようなマグルの家。
周辺に家はなく、Aの家とは違って都会の中ではない。
「ここが…」
下町からも遠く離れたこの場所に、ギルバートの家にAは始めてやってきたのだった。
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イライザ(プロフ) - ベルモットさん» ふふ、ありがとうございます。まだ成長しきれない感じが伝わるように書きました。これからどう変わって行くのか、どうか見守っていただけると助かります。 (2019年9月12日 8時) (
レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - 本日、引き続き読ませて頂きました。鷹の寮生らしく孤高で他人に頼らずに主体で好み。鷹の石像と会話をする場面も。 (2019年9月12日 7時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - ベルモットさん» そうですね、一歩一歩着実に。でも自分の領域は自分なりに守る。そんな考えを残しつつ、主人公が自分のプライドと並行して、何をどう変えて行くのかを伝えられたらと思っていまsy、ありがとうございます。 (2019年9月6日 3時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - まだまだ読み続けているベルモットです。この夢小説は説明文や状況説明など細かく書かれていて、ハリーポッターの世界観が滲み出ていました。鷹の寮生らしく夢主は健気ですね。 (2019年9月5日 23時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
イライザ(プロフ) - crossmarian4272さん» ありがとうございます！更新頻度が少なく申し訳ないのですが、これからも楽しみしていてください。宜しくお願いします。 (2019年8月9日 21時) (レス) id: 546c85bffe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ｉｒａｉｚａ | 作者ホームページ：
作成日時：2019年7月29日 22時
