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『不死川さん…起きてますか……?』
怖くて堪らず不死川さんの寝間へと向かった。
「…どうしたァ?」
寝る直前だったらしい。
だがしかし、私の持っているものを見た途端に眠気など一気に飛んでいってしまったようだった。
「なんで枕なんか持ってるんだよォ」
『雷が凄くて…。
隣で寝ちゃ駄目でしょうか……?』
そう言うとはァ、と溜息をつかれる。
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「お前、俺の気持ち知ってんだろォ?」
『……でも、怖くて……っ。』
そのやり取りをしている間にも
空は光り、轟音をあげる。
恐怖のあまり涙目になってしまう私。
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「…チッ、仕方ねェな、」
入れェ、と不死川さんは私を招き入れてくれた。
予備の布団を出してくれて、
だいぶ離れた所に敷かれる。
『……………………、』
「……ったく!!
わかったからんな目で見るんじゃねェ!!!」
生殺しもいいとこだわァ、と
もはややけになりながら不死川さんの布団の少しだけ離した隣に敷いてくれた。
『不死川さん、あの…っ、』
「あァ?まだなんかあんのかァ?」
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『…い、え。』
私は今、とんでもないことを
言ってしまいそうになった気がした。
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『おやすみなさい』
「あァ、おやすみィ」
こちらには背が向いている。
少し寂しくなってしまうが、仕方ない。
私も同じように横向きになり彼に背を向けた。
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ー くしゅん、
『…ごめんなさいっ、』
静かな空間に私のくしゃみの音と謝る声が響く。
返事はない。
もう寝てしまったのだろうか。
聞こえていないならいい。
私は布団を被り直し、背中を丸めた。
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ふと、背中に温もりが宿った。
私の身体は、
ひとまわりもふたまわりも大きなものにつつまれていた。
「……身体、つめてェ。」
耳元で響く低くて男らしい声はまぎれもなく不死川さんのもの。
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もみじ(プロフ) - 完結おめでとう!ありがとう!!!実弥の追い上げがすごくて、小芭内への気持ちなんてとっくに忘れてしまった(おい)唯梨の実弥はいつもかっこいいけど、今回のは特に非の打ち所がないかっこよさだったよ……やられた。書いてくれてありがとう!大好き!!! (2021年4月25日 9時) (レス) id: a7517d1b2b (このIDを非表示/違反報告)
環(プロフ) - 完結おめでとうっ!!私もオチた…!笑今回の実弥めちゃくちゃカッコよくて読んでる時ずっと悶えてたよ…!お疲れ様とありがとうねー!!ぎゆさんも多分見に行くっ!! (2021年4月24日 19時) (レス) id: 940f9d3174 (このIDを非表示/違反報告)
柚葉(プロフ) - 祝、完結!!やっぱ、実弥最高や(^^) (2021年4月24日 17時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
上杉霞音(プロフ) - 完結おめー!!今回もヤバかった!!!楽しませていただきましたよぉ、今回も!!ぎゆさん夢も楽しみにしてる!たぶんやけん私の好み!ゆっくりでいいからこれからも頑張ってね〜! (2021年4月24日 16時) (レス) id: 45bf448c7e (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - 澪凪さん» ありがとうございます……嬉しいです!!! (2021年4月24日 16時) (レス) id: 10a0ab61a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唯梨 | 作成日時:2021年4月17日 22時