一方通行【不死川実弥】

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次の日も、その次の日も
不死川さんはいつもと何ら変わりなかった。



いつものように稽古ではボコボコにされ、
湯浴み後は縁側でお話をした。







しかし、以前と変わった点がひとつだけ。







『……ちょ、何ですか…っ、』



｢あァ？好きな女の顔が見てェんだよ｣







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甘い言葉を吐くようになった。


私を、いちいち赤面させるようになった。






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(調子狂う……)

自分がここまで心を乱されるとは思わなかった。
これまで何度かほかの隊士に言い寄られることはあった。
だけど、こんな風になったことはない。
私が好きなのは師範、と揺るぎないものがあったからだ。








なのに今はどうだ。








不死川さんから甘い言葉を吐かれる度に、
好きだ、という目を向けられる度に。









なんだか、
大きな波のようなものに飲まれそうな気がしてならないのだ。









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本日、稽古合宿最終日。
明日の朝、師範が迎えに来てくれるそう。









その日の夜は悪天候だった。
そんな日は湯浴み後のお話はなし。
そのまま自室へ戻ろうとしていた。






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『…っ！！！』

稲光の直後、物凄い音で鳴る雷。
思わずその場にうずくまる。









私は、雷が苦手なのだ。











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両親が殺されたのも、雷が酷い夜だったから。

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